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2022年03月08日00:00

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映画『うみべの女の子』

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『うみべの女の子』(日本)
名前よりも役名で覚えられる役者を目指しているという石川琉華。『猿楽町で会いましょう』ではまさにそれを有言実行したような存在感で、クセが強くて感情移入できないヒロイン・田中ユカという人物像を印象付けた。『うみべの女の子』でもその路線を踏襲するように佐藤小梅という中学生を演じる。
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高校三年生かと思ったら中学三年生の物語だと途中で気付いて仰天した。海辺のある下町で暮らす佐藤小梅(石川琉華)は、憧れの先輩(倉悠貴)にフラれた反動で過去に告白された同級生の磯部(青木柚)と肉体関係を持つ。興味本位で始まったふたりだけの快楽の時間は、思春期の恋と性の解釈がお互いで噛み合わないまま続いていく。
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好きでもなかった磯部を本気で好きになっていく小梅と、かつては好意を抱き告白したはずの小梅との関係をしだいに疎ましく感じていく磯部。彼には虐めが原因で海で自殺(遺書を磯部が隠蔽したため事故死扱い)した実兄の呪縛があり、死という概念に執着し続ける重荷を抱えていた。父親とのぎこちない関係にも嫌悪する日々。
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小梅と一緒の時に浜辺で拾ったSDカードには、見知らぬ美女が水着姿で遊んでいる写真が入っていた。磯部はそれをパソコンの壁紙にして小梅に見せつけるよう鑑賞する。嫉妬心だけでは説明しきれない息苦しさとイラつきを感じた小梅は、磯部の居ない時にその「うみべの女の子」のフォルダを削除してしまう。諸刃の剣のようだったふたりの関係が崩れていく過程で、磯部は兄を虐めた人間への復讐計画を実行する。その標的は小梅がフラれた先輩でもあった。
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世代ギャップ的カルチャーショックが過ぎると感じる一方で主役ふたりに感情移入する。身体を重ねても満たされないのは何故か、どんな欲求に飢えているのか。感情をぶつけ傷付け合いながら衝動的行動を続ける小梅と磯部の覚束なさが危うい。役者と演出が見事に噛み合った渾身の事例。新鮮味=青春ちょっと前の揺らぎを“蒼春”と名付けたくなる。原作(浅野いにお著・同名コミック)未読なため悲劇的な結末を想像する緊迫感もよかったのかもしれない。
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小梅の過度な承認欲求的言動とずるさ、磯部の小梅に対する態度の変化、どちらも共感できるのだが経験値的に20歳前後時代の青春群像との被り。この世代の中学生にリアルにありそうな気がしてくるところに苦笑と不安が入り交じる。思春期世代にはまだ早いと思うのは時代錯誤かもしれない。小梅が自分なりの答えを見つけていく思いもよらぬ逞しさもあり、エピローグ的な高校時代描写には、周囲を俯瞰して見ている大人びた印象すらほのめかす。性交描写も正面から撮っているのでR15なのは仕方ないが、主人公達と同世代にも観せたい。
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