2018年3月25日(劇場鑑賞)
一度観た後、もう一度観たくなる作品で、特に二度目は映画全体の色彩設計や細部の作りこみに感動することができます。
監督は、子供の心を持った漢「ギレルモ・デル・トロ」、ヒロインのサリー・ホーキンスも美しかったし、監督の盟友ダグ・ジョーンズの半魚人姿もイケメンでした。
物語は、冷戦下のアメリカ(1962年)でソ連との宇宙開発競争に利用される半魚人に恋をした女の運命を描いた傑作映画です。
この映画は、異種間恋愛と人種差別を鋭く描いた社会派映画で、モンスターが出る怪獣映画とも言える色々な視点で語れる幅の広いだけでなく、60年代の小物や街で見える看板、服や車、靴、その他諸々の色使いなど細部に深いところも良かったです。
ヒロインの声が出せないという設定は、マイノリティであることを表す重要な要素であり、タップダンスや手話など言葉以外の感情表現により、とても魅力的な人物像として描かれています。
それと、バスタブでの自慰行為が日課なところや卵や音楽が好きなところも良かったです。
※卵を茹でている間水中で人間の女(メス)が自慰行為し、出来た(茹で)卵を半魚人(オス)に勧めたり、魚の生殖活動(体外受精)の壮大な暗喩ともとれる映画の構造。
物語全体に色がキーワードで、緑(青)とその対比としての赤により、ヒロインの感情表現や虚構と現実の対比にも役立っており、「服や靴、カチューシャの色」、「隣人の書く絵のゼリーの色」、「キャデラックの色(ティール色)」、「不味いパイの色」等、色彩設計の素晴らしさに惹かれます。
隣人の飼い猫を殺した半魚人に対して、髪をふさふさにしてもらったことで、許した隣人は実は人の皮を被った怪物で、半魚人との対比として描かれていました…というのは嘘で、多分深読みかと思いますが、猫が大好きな宇宙人「アルフ」オマージュではないかと勝手に考えました。
半魚人は人でない、でも本当は人の方がよほど怪物な行動をするというのが、本作の肝となっています。
そのことは、マイケル・シャノン演じるストリックランドが語る愛読書「ポジティブの力」の一節であり、現在アメリカ合衆国大統領を務める人の愛読書でもあるこの本に書かれている、他者を出し抜け、俺はできる男だ、弱さは敵だ、強い者が正義だなどの劇中語られる名言を聞けば大体分かると思います。
最後に、ヒロインが唯一喋るミュージカルシーンの美しさに陶酔したのと、デル・トロ監督の女の趣味って一貫して痩せた可愛らしい人だなって余計なことを考えるほど、この映画は忘れられない作品となりました。
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