まず最初に、ホラー映画と聞いていたので、若干舐めていた自分を恥じているという前提でこの文章を書いていることを反省と自戒を込めて明記しておきます。
この映画、ホラー映画としても上質、なれどこの映画の凄さはジュブナイルものとしての青春映画の雰囲気を全編通じて感じることのできる巧みな演出でした。
物語は、子供の失踪事件が頻発する町で、夏休みに子供たちが「それ」と呼ばれる恐怖を食べるピエロと戦うことで、自分自身の心の弱さと向き合う青春映画でした。
ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)の子供たちはそれぞれに異なる死のイメージを抱えています。
弟の失踪を引きずるビル、(子供から女になる)生理&父親の性的虐待で心と身体のバランスを崩しているベバリー、薬漬けのエディ、デリーの過去を調べることで「それ」の存在を確信するベン、家畜の屠殺と両親の死を抱えるマイク、敬虔なユダヤ教徒にして自宅に飾られた宗教画に恐怖するスタン、そして眼鏡でガリガリのスネ夫タイプなリッチーだけは特殊で、最初は一人だけ「それ」の存在を否定する役だけど、「それ」に「自分の捜索願いのチラシ」により脅迫されることで死を意識します。
上記したそれぞれの内に抱える固有の恐怖を炙り出しながら、キャラクターの特徴を説明するという語り口が鮮やかで、どんどん物語に没入できます。
そして、この個々の恐怖を乗り越えるというのが本作のドラマの肝であり、成長の鍵というよくできた青春モノでした。
「それ」と呼ばれるピエロが強調する、「ぷかぷかと浮いた」という台詞、これが意識的無意識的に刷り込まれるように、「それ」の登場する度に「水に浮いている。」「風船が目線の高さに浮いている。」など演出されています。
もちろん、浮いているというのはイメージで、現実ではないお化けという意味で、ラストの井戸に沈むことで退治されるのと対になっています。
退治される過程で、恐怖に打ち勝つのを映像的に見せる表現(死んだ弟に化けた「それ」を撃ち殺す)は、私は納得できるけど、子供には難解かなって思ったらR15+だったというのはもったいない話で、子供の健全な成長にこういう行間を読むような表現を知ることは重要だと感じます。
この映画、時代設定をなぜ1988年〜1989年にしたのか、疑問だったけどエンディングで「第一章」と出た時に落胆すると同時に、伏線なんだろうなって思った。
※ちなみに、TVドラマ版が1990年に放送し、その27年後に劇場公開するというところはすごい狙ったタイミングだったと後で知った。
物語本当のラスト、27年後にそれ(IT)が戻ってきたら、みんなで集まり今度こそ奴を倒そうと各々の手を傷つけて血を流しながらお互いの手を握り円陣を組むという「血の誓い」を立てる場面は、仲間との友情を確かめ合う儀式として最上級の興奮を得る良い場面だった。
役者も優れていて、主人公ビル(ジェイデン・リーバハー)のイケメンぶりは昔のディカプリオを思い出させるし、デブ(ジェレミー・レイ・テイラー)とかイイ味出していたし、あの女の子(ソフィア・リリス)は可愛かった。※別に私はロリコンではないけど、映像で観る彼女は大人の色気と子供の身体を持っていた。
最後に、冒頭にも書いたがかなり舐めていたのでこの映画のパンチ力にヤラれた感じがするけど、この映画135分があっという間に感じるほどよくできた映画でした。
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