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2024年03月30日23:19

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再び追悼上映

 ネオ書房アットワンダーで再び水井真希さんの追悼上映に参加。上映作品はいまおかしんじ監督13年作品「星の長い一日」。貧困のため窃盗で糊口をしのぐ主人公。煙草をくれたコンビニ店員の女性に惚れて後をつけ、家に押し入ってセックスを懇願すると、なんと女性は受け入れる。
 必要になったコンドームを入手するため、衝動的に盗みに入るが、住人の青年と鉢合わせし刺されてしまう。
 刺した青年はその場を逃げ出し、途中で知人の女性と会ってその家へ。この女性は冒頭で主人公が盗みに入った家の住人。
 女性は路上で自作の猥歌を唄い、家では超大盛のスパゲッティを食べるも嘔吐する豪快な女性。そして青年に好意を持ちセックスする。2人の女性の性格は全く違うが、ともに男にとって都合の良すぎる女。
 冒頭の盗みの場面で、明らかに主人公は女性に見えているのだが、気づかれない。これはリアルな話ではなく、いまおか監督流ファンタジー。
 さらに異様なのが、倒れている主人公の前に現れる兄妹。2人は薬物で狂騒状態で、血まみれの主人公と無理やりセックス。妹は主人公に「死ぬよ」と繰り返す。直後に青年のもとにも現れるなど、超自然の存在のよう。
 主人公はわずかな金しか盗まず、ようやく買えたおにぎりを食べる時も嬉しそうな様子はない。生命力が感じられない。それが善悪は別にして、女性の家に押し入る時、初めて能動的に思えた。
 刺された後も、兄妹の薬物を打って痛みを忘れ、女性のもとへ行こうとする。終盤生きるために必死になる主人公と、それを助けようと走る青年を見て妹は「死なないよ」。
 状況は変わりないが、希望の持てる結末がいい。予想以上に楽しめた。ちなみに題名の「星」は主人公の名前。
 上映後司会の切通理作さん、いまおかしんじ監督、兄役の佐藤宏さん、客として来ていた主演の荒井タカシさんが登壇してトークショー。
 もともとは国映のピンク映画で、朝倉大介さんに却下された脚本を肉付けした作品。水井さんは妹役。奇妙な発声で台詞を喋るなど、異物感を出していた。なぜか関西弁で、撮影前に練習したらしいが、関西人のいまおか監督に言わせると「似非関西弁」。しかしこの役ならよし。
 撮影中も奇矯な行動があったらしいが、次回作で普通の人の役を振られて喜んでいたエピソードは微笑ましい。この映画は「青春H」の一篇。製作費50万円の過酷な現場だが、水井さんは多く出演。役者バカと言うべきか。
 切通さんによると、水井さんは映画人から受けた性加害を告発したまま亡くなったので、それが収拾するまで作品の上映を断られたらしい。なぜ被害者がそんな扱いを受けるのか。いつか水井さんにスクリーンで再会したい。
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