まあっ、元気じゃねえ〜

ドアを開けると絵描きの親友が笑顔で立っていた。
すこぶる元気な様子で思わず

まあっ、元気じゃねえ〜

と声が出た。
と云うのもこの正月に彼女がきた時にはあまり調子が良くなかったから。
色々調子の良くない時期があって、最終的にパーキンソン病だと告げられて３年目になる。
痩せ細った彼女は、プールに通いヨガをし毎日の散歩で鍛えている。
それでもこの正月の彼女は弱々しく、歩くときは足が「く」の字で、両手は外に反り使い物にならない状態だった。
彼女はこんな状態で田舎での一人暮らしは大丈夫なのかと誰もが心配した。
幸いロンドンに住む母親想いの息子たちが奔走し、掃除婦その他の手助けを母親の友人たちに仕事として頼み、経済的な援助もしているとのことで安心した。
そして再び訪れた彼女は見違えるほど元気になっていた。
足は伸び、手のひらは相変わらず外に反ってはいたが、以前自分でポニーテールの輪ゴムも使えなかったのが、今回は自分でできるようになっている。
彼女も嬉しそう。

どうやら前回の原因は薬の量だったらしい。
彼女は薬を控えめに摂取することで病の進行を遅らせようとしたらしい。
ところが実際には進行を早めてしまったようだ。
医者に注意され、以来規定の量の薬を飲むようになった。
ともかく良い結果でよかった。

彼女は間も無く長男に伴われて帰省する予定。
日本には姉、妹、姪の他会いたい人たちがいる。

なんと云っても日本は私たちの故郷なんだもの、満喫してきてほしい。