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2020年02月10日21:56

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未体験ゾーンの映画たち2

 引き続きヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「未体験ゾーンの映画たち」に通う。
「ロバマン」は、吉田照美68歳記念作品とのっけに出る。馬面で「ロバ」のニックネームの照美にロバのヒーローを演じさせる冗談のような企画で、それ以上のものはなく、上映時間もピンク映画より短い。河崎実監督の演出もいつも以上に緩い。
 ロバ宇宙人の力でヒーローになった68歳の定年退職者の男が、町内の悪者をぶちのめすストーリーより、照美とラジオでの共演者との台本にないであろう会話や、宿敵の「オールナイト星人」の笑福亭鶴光、ロバマンを助ける伊東四朗の「タフマン」など、長年のラジオリスナーこそ楽しめる作品。
 「スリー・ジャスティス 孤高のアウトロー」は、ヴィンセント・ドノフリオ監督、出演の西部劇。DVの果てに母を殺した父を射殺した少年は、極悪な叔父クリス・プラットを逃れ、姉とともに母の知人のいるサンタフェに逃亡。途中で会うのが、逃亡中のビリー・ザ・キッド。その登場場面は、淡い後光がさしている。ビリーが姉弟の守護者であることを示すのか。
 原題は「The Kid」。ビリーと少年をかけているのだろう。2人は兄弟のようになり、ビリーは拳銃を教える。少年は左手で銃を撃つ。「左きゝの拳銃」であることもあって、少年も第2のビリーになるのではないかと思わせる。デイン・デハーンのビリーは、魅力的な笑顔と少年への優しさ、凄腕ながら人を殺すことへの恐怖を滲ませる。今までのビリー像とは違ったアプローチをしていて面白い。 
 ビリーを追うパット・ギャレットは厳格な法の番人だが、ビリーをリンチにかけようとする群衆相手に戦い、少年に対しても道を踏み外さないようさりげなく促す。儲け役で、イーサン・ホークは「マグニフィセント・セブン」よりこちらも方がいい。
 最後は姉を奪った叔父との対決。ここで決着をつけるのは、ギャレットでなく少年であるのもいい。ラストも少年の成長が爽やかで、楽しめる作品。
 「スキンウォーカー」は、人間に次々寄生する生物を描いたSFだが、人間でなく生物の視点で描かれているのが珍しい。生物は人間を害するが生きているだけ。ジャック・フィニィの「盗まれた街」の異星人のようであり、同じような台詞もある。
 面白いのは、生物は寄生した人間の記憶を継承すること。かつて殺した男の妻が常連のバーに、別の姿で何度も現れる。この時、バーの飼い犬だけが生物を認識し、なついてくるのが切ない。
 ただ生物の妻への告白が、全く工夫もなくタイミングも最悪。無間地獄が続く幕切れもどうか。面白い設定を生かし切れていないのが惜しい。
 
 
 
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