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2018年08月01日23:48

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ユーロクライム!

 シネマカリテで開催中のカリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018で上映の「ユーロクライム!」を観る。70年代イタリア犯罪アクション映画の記録映画。
 60年代末から70年代にかけて、アメリカで「ブリット」「フレンチコネクション」「ダーティハリー」「ゴッドファーザー」がヒット。マカロニウエスタンが斜陽となっていたイタリア映画界はこれに便乗、犯罪映画が量産されることになる。
 映画はエンゾ・G・カステラーリ監督やフランコ・ネロ、ジョン・サクソンやフレッド・ウィリアムソンなどゆかりの監督、俳優らのインタビューに映画のフッテージ、ポスターや自作のアニメまで作って解説する。
 イタリア人は外食の習慣があり、その後映画を観ることが多かった。当時のテレビ局は2局しかなかったなどの要因。そして現場で怒鳴ってばかりのウンベルト・レンツィ監督のエピソード、女性蔑視の内容が多く、バーバラ・ブーシェの扱いがひどすぎる。また実際のマフィアと映画界の関係など、知らないことが多い。リチャード・ハリソンが主演作撮影中、新聞でプロデューサーが警察と銃撃戦をやったことを知る話は驚く。
 人気で粗製乱造となり、レイモンド・ラブロック主演作は40パーセントが他の映画のフィルム使用。玉石混交と言うより、石が大量ではないか。ブームが去ったのは、80年代に入り治安が悪化、人々が外出しなくなったことや、テレビ局が充実し映画館が一気に減少したためと言われる。イタリア映画自体が傾き、アメリカ人俳優たちもイタリアを去る。
 マカロニウエスタン最後のヒットは、コメディの「風来坊」シリーズ。コメディ化するとそのジャンルは廃れるのがイタリア映画なのだが、ユーロクライムも最後のヒットはトーマス・ミリアン主演のコメディシリーズ。これも意外。ミリアンのコメディ演技は想像できない。
 大量のフッテージが使用されるが、この時代に間に合っていないので、ほとんど観ていない。バブル期にB級映画2本立てで公開されることがよくあり、ここでイタリアのアクションはよく観たが、ほぼつまらなかった。犯罪映画の残滓のようなものだったか。
 意外なのはその後の展開で、ビデオやDVDで人気が出始める。サクソンがファンからもらったビデオで、20年前の出演作を始めて観る話は面白い。
 犯罪映画は予算を安くあげるのと、英語吹き替えにするためアフレコ、撮影は無許可、題名を変えて再公開したりする。まるで日本のピンク映画だ。この撮影にアメリカ人俳優たちは戸惑うが、やがて面白いと感じるようになる。後に人気が出たのも、ハリウッド大作に飽いた人々が、プログラムピクチャーに惹きつけられたか。また、臆面もなくパクるのも、ある種イタリア人の魅力ではないか。
 面白かったのは、出演者の1人であるヘンリー・シルバ。ホラー映画風に再公開された自分の主演作のチラシを見てゲンナリした表情を見せたり、話が面白い。最後はこの人のジョークで終わる。悪役のイメージだが、ユーモアのある人なのだ。
 マイク・マロイ監督は、遅れてきたイタリア映画好きのアメリカ人だろうか。私も久しぶりにイタリアの娯楽映画を観たくなってきた。たぶんつまらないだろうけど。
 
 
  
 
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