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2016年12月20日02:26

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カラヤン1960年代のベートーヴェン

私のクラシック入門期に聴いたものはよく覚えている。
初めて買ったCDはカラヤンの英雄。1976年ぐらい録音のやつ。違法コピー版で980円だった。

カラヤンの名声全盛時代で、当時は宇野氏の批判なども知らないし、最高のものなのだろうと思った。
その後、ベスト100シリーズの2297円で、英雄と8番がカップリングされたものを買う。こいつは1984年のデジタル録音。
これは、その後オーディオマニアになり、「ベスト100」シリーズ的なものは音がいまいちになるのではという疑念がぬぐえず、初出3500円の盤に買いなおしていま手元にもある。

宇野氏の「ゴージャスだが薄っぺらで内容空疎」というカラヤンのベートーヴェン批判は、なんとなく共感してしまい、自分の感想としても、カラヤンはベートーヴェンには向かないのではと思うようになった。

最近、ハイレゾでカラヤン1960年代をいくつか入手。
「カラヤンとフルトヴェングラー」という本がものすごくおもしろかったので、フルトヴェングラー没後、カラヤン色になりきっていない時代のベルリンフィルサウンドに興味があった。

バッハとモーツァルトだが、1965年録音で、すでに流麗だが、低音が分厚い、ちょっと武骨なドイツサウンドでもある。

1961年や1962年のベートーヴェンというのはおもしろそうだ。

最新のリマスターでブルーレイオーディオか、2004年のリマスターでハイレゾダウンロードか。
グラモフォンは、リマスター自体は、最近のものがよい印象だが、再生環境としては、ブルーレイオーディオよりHDDからのほうがあきらかによい(特にOPPOの場合)。
HDDでのデータ再生は癖が少ないのがよい。

迷ったが、全集でなく、3番と4番のみをダウンロード。
WAVでなくFLACなのが少し気になるが。

これはあたりで、かなりおもしろい。

低音が分厚いのが好ましい。
よく「カラヤン全盛時の低音」みたいな言い方があるのだが、CDで聴く限り、カラヤンは高音寄りの印象もある。
これを聴くと納得する。ただ、如月さんの分析にあるように、単に録音のポリシーが変わっただけで、カラヤンベルリンフィルの帯域バランスは変わっていない可能性もある。

演奏としては、フルトヴェングラーとか戦争の悲劇調がちょっと残るというか、アンサンブルもよい意味で完璧でなくなまなましく、ドイツの武骨で渋い感じがある。

確かに、これぐらいのほうが「内容空疎」でない感じがする。
当時はレコーディングは一大事業だったろうし、ステレオ最初期で気合も入っているだろう。

カラヤンの解釈どうこうというより、こういう文脈のほうが大きい気がする。
安定期のカラヤンの大量のレコーディングは、さしておもしろいものでもない。
ライブは凄かったかもしれないが。

とはいえ、フルトヴェングラー1940年代のライブと較べると、狂気のようなものは感じられず、手際よく練習して録音されたなという感じはある。一期一会という感じではない。
大量生産。
時代がそれを求めたし、楽団もそれを求めたようだ。

1980年代には、カラヤン個人の悲劇というか、そういう味もあるのだが、そういうことを抜きにすれば、古ければ古いほど面白そうである。
1959年あたりからしか録音がないようなのが残念だが、ステレオもそのあたりからなので、まあしょうがない。

1962年の第九が「ガラスCD」20万円とかになっていて、謎だったがそれは解けた。
人類の第九の記録の中で、音質と演奏で、普遍的でバランスよさそうなのはじつはこれであろう。
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