アップリンクでつながり映画祭。仕事で出入りしている会社が関わっていて、今年で7回目。障害者をテーマにした映画祭。今年見たのは、音楽映画2本。
「ジェイソン・ベッカー」は、ジェシー・ヴィレ監督の記録映画。主人公ジェイソン・ベッカーを、家庭用ビデオや写真、家族や友人の証言などで描く前半。10代前半でボブ・ディランやエリック・クラプトンを弾きこなす天才ギター少年が、マーティ・フリードマンに見いだされ、デイヴ・リー・ロスのバンドに抜擢されるサクセスストーリー。
後半は足の不調から病気が発覚。病名はALS。通称ルー・ゲーリッグ病。あっという間に体を動かせなくなってしまう。しかし、闘病生活に入っても、ジェイソンの表情はユーモアを失っていない。目の動きから意思の疎通を図れるようになる。慣れた近親者なら、テレパシーのように早く会話ができる。さらにコンピューターを使って作曲もできるようになり、アルバムも発売。本当のスーパーマンだ。
家族や仲間たちに祝福される至福のラストは、この人物にふさわしい。まさに「Not Dead Yet(原題)」。
「パンク・シンドローム」は、メンバー全員知的障害者のパンクバンド「ペルッティ・クリカン・ミニパイヴァト」を追うフィンランド映画。驚いたのは、全員が自らの家を持ち、自立している。妻子がいるメンバーもいる。北欧の福祉政策ゆえか。経済ではノキアがマイクロソフトに買収されたり、政権が右寄りになったりしたが、まだまだ充実している。
メンバーも始終服のほつれが気になったり、怒りを制御できなくなることもあるが、見ているうちに障害者であることを忘れさせる。海外ツアーまで行っているのだ。ドイツでビートルズの記念碑を訪れる様子がおかしい。
施設は政治への不満を歌詞にしているが、抑圧は普遍的なものであり、そこが受けているのか。メンバーの1人が結婚するラスト。こちらも気持ちいい。この映画の後、バンドはユーロビジョンのフィンランド代表に選ばれる。日本では考えられない話だ。
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