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2022年05月15日12:32

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青木はるみさん、岸田裕史さん、死去

 5月12日付の朝刊を読んでいたら、訃報欄の片隅に青木はるみさんの名前が出ていてびっくり。「5月10日、誤えんによる窒息のため死去、88歳。」とのこと。
 まだ詩を書きはじめて間もない頃、青木さんは現代詩手帖賞を受賞し(1974年)、華々しく詩壇にデビューされていました。その頃、たぶん大阪であったと思うけれど、青木さんを囲む少人数の会に参加して、初めてお会いしました。きれいな人だなあというのが第1印象。こちらが20代半ばだったので、そのときの青木さんは40代初め頃だったはず。その後90年代になり、こちらが『キリンの洗濯』でH氏賞を受賞してからは何度か講演会などでご一緒した。2000年代に入った頃、ちょっとした行き違いがあり、それから会うこともなくなりましたが。青木さんの初期の詩は好きでした。特に「遠雷」という詩は好きで、ノートに書き写したりしたことがあります。

 先日、知人のYさんとあった時、岸田裕史さんが亡くなったと知らされ、こちらもびっくり。ネットにも出ていないので詳細は分かりませんが、青木さんと同じ頃に亡くなられた思われます。大阪府高槻市在住で、僕よりひとつ下なので、享年69。大手の電機メーカーに長く勤められていたようで、工学的な言葉が出てくる独特な詩を書かれていました。ガーネットの購読会員でもありました。
 お二人の詩をここに掲げ、ご冥福をお祈りします。

      遠雷
             青木はるみ

  まだ幼い鹿のようなきみに会って
  帰宅してから
  風がしきりにさわぐのだ

  ひろーい所へゆこうといった君を
  五月の馬酔木の森に案内する
  私はきょう
  非常におしゃべりなガイドで
  きみは
  非常にいい声なのにだまりがちだ
  私は日常への距離、日常からの距離について
  もどかしく語ろうとしていた
  きみは まばらな馬酔木の森で
  ときに立ち止まる
  熱い髪をかきあげてほほえむのに
  くらい茂みで細いくびがみえなくなる
      (後略 『ダイバーズクラブ』所収)

      意思の力
                 岸田裕史
  意思によって
  乱打された意思は
  鋭くとがり
  詩の成立を手助けする

  強い意思で
  言葉をしばり
  詩を書けば
  硬い思想となって
  意識の底に沈む
      (後略 第1詩集『都市のしじま』所収)


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