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2024年05月22日10:15

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卯の花と井上井月

 散歩道にウツギの花が咲き始めました。
 唱歌「夏は来ぬ」をはじめとして、詩歌では別名の「卯の花」が使われることが多く、こちらの方が一般によく知られている名かもしれません。
 ウツギ(空木)の名は茎が中空であることから、卯の花は旧暦の4月(卯月)に咲くところから来ています。

  卯の花に三日月沈む垣根哉 井上井月

 ネットで卯の花の句を検索していて上の句を見つけました。井上井月という名を見てちょっとびっくり。井月は「せいげつ」と読みます。
 この俳人を初めて知ったのは、つげ義春の『無能の人』第6話「蒸発」ででした。
 幕末から明治にかけての俳人で、生前は無名でしたが、大正10年に地元の俳人によって『井月の句集』が出版され、広く世に知られるようになりました。
 越後長岡藩出身の武士であったという説がありますが、その出自は定かでなく、幕末にひょっこり信州伊那谷に現れ、そこに30年、放浪しつつ死ぬまで棲みつく。最期は乞食同然の姿で行き倒れとなり、明治20年、66歳にて死去。自由律俳句の種田山頭火はこの井月に強い影響を受けたとされています。
 辞世の句は、
 何処やらに鶴の声聞く霞かな

 井月についての本はいろいろと出ているようですが、20年ほど前に買って読んだ『井上井月伝説』(江宮隆之著 河出書房新社)はなかなか読み応えがありました。

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