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2021年05月30日21:16

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カトリーヌ・スパーク特集

 ヒューマントラストシネマ渋谷でカトリーヌ・スパーク特集を鑑賞。私のとって最初のスパークは、東京クラブで観たアンソニー・ドーソン監督「ワイルドトレイル」だが、映画の内容共々記憶にない。スクリーンで観た作品は、リバイバルのアンリ・ヴェルヌイユ監督「ダンケルク」のみ。それ以外ではテレビ放映で観たリチャード・クワイン監督「ホテル」での助演が印象深い。
 映画史上重要な作品に出演しているわけではないが、60年代に人気のあったスパークを特集する企画は面白い。
 「太陽の下の18歳」は、イタリアの観光地の島に集まった若者たちの群像劇を、同姓同名の伊仏の男女を中心に短い挿話を積み重ねて描いた作品。
 たわいない青春映画だが、観光映画として成功しているし、スパークを魅力的に撮っている。そして後のマカロニウエスタンから考えられないエンニオ・モリコーネのご機嫌な音楽も素晴らしい。カミロ・マストロチンクエ監督は知らないが、楽しい映画。
 「女性上位時代」は、68年のパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ監督作品。タイトルバックの並べられた椅子が、斎場と分かるファーストシーンが面白い。死んだのはスパークの夫。後になって夫は秘密の部屋を持っていて、そこで特異なセックスを繰り返していたとがわかる。
 夫の残した女たちの評に、自分が入っていないせいか、夫の性癖への好奇心のためか、妻は次々男たちと関係する。
 明らかなボディ・ダブルもあるが、スパークが裸になっていて驚かされる。アメリカでもヘイズコードが撤廃された時期だろうか。
 未亡人の男遍歴はピンク映画のようだが、エロさがあまりないのは、場面ごとに変わるファッションスパークの個性のせいか。夫が死んだことを「悲しくない」という無機質さもあって、壊れたアンドロイドが暴走しているようにも見える。
 車の中で裸になる場面など、周囲にどう見られるかも関心を持っていない様子。この場面は神代辰巳監督の遺作「インモラル 淫らな関係」にもあったが、タッチが全く違う。
 男主役のジャン=ルイ・トランティニヤンは、上映開始後1時間近くたって登場。スパークのやることを全て許す破天荒な男で、ラストシーンもフェミニズムというより、ピッタリの相手にめぐり逢った幸福感がある。
 カンパニーレ監督は、ヴィスコンティ映画の脚本家だが、監督としては80年代に公開された「SEX発電」など、軽めの作品が得意のようだ。この映画も当時の風俗を軽妙に見せて楽しめた。貴重な作品を見せて好企画。
 
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