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2019年12月06日23:58

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男はつらいよ お帰り寅さん

 一ツ橋ホールで山田洋次監督「男はつらいよ お帰り寅さん」の試写。上映前に流れているテーマ曲が、明らかに渥美清のものではない。映画が始まると、タイトルバックで寅次郎の扮装をした桑田佳祐が歌っている。まさか桑田が寅次郎を襲名か。この違和感が拭えないまま本編へ。
 まず満男が会社を辞め、作家になっている。そして中学生ぐらいの娘がいるのに驚く。しかし「寅次郎紅の花」から24年、「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」から22年経過しているのだ。「くるまや」もカフェになり、三平が店長。タコ社長の印刷工場はアパートになっている。
 今このシリーズを作るとなれば、当然満男が主人公。良き父親であり、作家としてもデビュー作が売れたらしいが、まだ自信がない感じだ。しかしサイン会でかつての恋人である泉と再会し、転機が訪れる。
 おいちゃんとおばちゃん、タコ社長も亡い。御前様も2代目で、さくらと博も隠居。リリーの意外なその後も描かれる。「老い」のテーマが見え隠れするのは、近年の「東京家族」「家族はつらいよ」と共通。このシリーズの熱心な観客でなかった私は、満男と泉の話をほとんど観ていないが、それでも関係なく見せるのはさすがだ。満男が妻が死んだことを泉に告げないのは、「お悔やみを言われたくない」ためではないだろう。ここに寅次郎の精神が、ちょっと違った感じで継承されていたりして、最初の違和感もなくなる。
 寅次郎は、登場人物たちの回想で現れる。明らかに故人の扱いだと思ったが、さくらの「お兄ちゃんが帰って来た時のため、2階は空けてある」の台詞に驚く。まだ旅を続けているのか。CG寅次郎が帰ってくるのか。私にとっては「寅次郎紅の花」のリリーとともに去る場面で、寅次郎の話は終わっているので、これはちょっと嫌だな。
 このシリーズを観続けて来た観客は、ラストに懐旧の情を抱くだろう。エンドロールでは、下條正巳や笠智衆もクレジットされる。しかしそれだけでは物足りない。この映画で最も笑いが起きたのは、過去作のフッテージ、特に「寅次郎相合い傘」のメロン事件の場面。過去の遺産に頼るのはやめてほしい。
 この映画がヒットしても、シリーズの継続はないだろう。満男らのその後を描いたシリーズ番外編として楽しめる。
 
 
 
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