私はアスペルガー症候群なんですけど

　国連気候サミットでの演説を聞いた夜、16歳の環境活動家グレタさん（Greta Thunberg）のTwitterをお気に入りに登録した。
　本日10月1日にはこんなつぶやきがあった。

Travelling slowly through North America, heading eventually for Santiago. I will stop and visit as many places as I can, and of course protest every Friday no matter where I am!
　北アメリカをゆっくりと旅して最終的にはサンチャゴに行きます。
　できるだけあちらこちらの場所に立ち止まります。
　もちろんどこにいたって、毎週金曜日には「抵抗」します！

　彼女の自己紹介欄には「アスペルガー」（症候群）という言葉が使われている。
　漠然と知ってはいるが、アスペルガーでググってみた。自分がそうだ、と思うところが大だから。

アスペルガー症候群の子どもや大人は、
(1) 他の人との社会的関係をもつこと、
(2) コミュニケーションをすること、
(3) 想像力と創造性
の３分野に障害を持つことで診断されます。

　分かったような分からないような「障害」である。

(1) の社会的関係をもつことというのは他の人と一緒にいるときに、どのように振る舞うべきかということです。(2) のコミュニケーションとは自分の思っていることをどう相手に伝えるか、そして相手の言いたいことをどう理解するかということです。最後の (3)想像力と創造性の問題とはふり遊びや、見立て遊び、こだわりと関係します。

　以上の引用は東京都自閉症協会のHPに掲載されていることだが、書き手の立ち位置自体がよく分からない。以下、特徴を見ていく。

＜アスペルガー症候群の人の人付き合いの特徴を一言で述べれば、人の中で浮いてしまうことが多いということでしょう。＞
＜暗黙のルールがわからないために他の子どもから嫌われたりいじめられるアスペルガー症候群の子どもが多いのです。＞
＜積極的すぎることもある＞
＜話し方が回りくどい、曖昧が苦手、細かいところにこだわる＞
＜一方的でわかりにくい話し方＞
＜言外の意味を汲み取ることが苦手＞
＜しゃべるほどには理解していない＞
＜踏み切りで電車を延々と見続ける、特定のビデオの同じ場所を繰り返しみる、他の遊びにはめもくれずテレビゲームのみに熱中し……＞
＜色んなものを集めたがります。電車や飛行機のミニチュア、カードといった一般的なものから、トイレのブラシやコンビニのレシートといった風変わりなものまで＞
＜パターン的行動、生真面目すぎて融通が利かない＞
＜感覚刺激に対して敏感なことがあります。敏感さは聴覚、視覚、味覚、嗅覚、温痛覚などのいずれの感覚の敏感さもありえます。＞
＜字を書くのが苦手な子どもが多いようです。まず字の書き方が乱雑で「みみずのはったような」字をかくことがあります。＞
＜自分で物事を計画して、複数のことがらを連続して実行していくことが苦手なことが多いのです。＞
＜アスペルガー症候群の子どもは相手の言ったことをそのまま単刀直入に受け止めてしまいがちです。そのため騙されやすかったり、利用されたりしやすいのです。＞

　具体的な説明を読んでいると面白くて、引用するのが楽しい。
　自分はアスペルガー症候群か否か、なんて問いはどうでもよくなってしまった。
　なんとか「症候群」と括って異常性を端的に表すというのは、「日本人とは？」「韓国人は……」という言い回しと同根で、無理がある。かれこれ40年前にシンデレラ症候群なんて言葉がもてはやされたが、それのどこが悪い？　ピーターパン症候群というのもあったが、大人になりきれないことは是非があるのではないか？
　高校生の頃から私は「人嫌い」であることを公言していたくらいだからアスペルガー症候群のど真ん中に位置しているものの、学生時代も社会に出て以降も困ったことはなかった。心の中で「こいつはどうしようもない」と思われているケースも多々あろうが、世間というのは比較的寛容で、私を疎外するまでには至らぬ。そしてそして、これまで関わった人を個々に見ていくと、10人が10人、どこかおかしいのである。
　グレタさんの演説を聞いたり、行動を知ったりして、不愉快になるひともいれば、愉快になるひともいる。これは個人的な趣味の領域で、趣味に正常と異常の線引きなんてするんじゃねえ、と言いたい。大きなお世話だ。