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2019年10月01日05:28

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日米貿易協定調印、トランプ大統領の焦りに乗じ、日本側は優位に決着

 日本とアメリカの貿易交渉は、9月25日、閣僚級会議の開始から実質半年という長短期で決着した。

◎日本は譲歩したのか?
 同日、ニューヨークで安倍首相とトランプ大統領で合意、調印した(写真)。
 日本は、一見した限り、アメリカから得られたものよりも多くの譲歩をしたかのように見える。そこをとらえて、反安部政権の朝日新聞などは極めて批判的な論調で、日米貿易交渉の決着を批判していた。
 しかし産業界の受け止めは違うし、僕も安倍政権はトランプ大統領との合意によくこぎ着けられた、と評価する。
 例えば日本は、自動車と同部品の対米輸出関税の撤廃を継続協議と譲歩した。トランプ大統領が離脱する前のTPPでは、アメリカはいずれの関税もいずれ撤廃する約束だった。

◎追加関税、総量規制の回避に奏功
 しかし日本は、もっと大きな物を得た。トランプ大統領とライトハイザーUSTR代表が折に触れて脅す自動車の25%追加関税を回避させたのだ。また、先に修正・締結された米韓自由貿易協定やアメリカ・メキシコ・カナダ協定に盛り込まれた輸出台数の数量規制の回避も成功させた。
 日本の自動車メーカーにすれば、25%追加関税になれば、例えばトヨタ1社だけで5000億円ものコスト増になるところだった。現行の自動車と同部品の2.5%関税など、象徴的意味しか無く、さほど重要ではない。

◎牛肉・豚肉はTPP並み、機械や化学製品は関税撤廃
 もっともトランプ大統領、ライトハイザー代表に完全に断念させたわけではない。ただ、この協定が続く限り、アメリカ側から追加関税と総量規制を持ち出される懸念はなくなったことは大きい。
 またアメリカ側が密かに目論んでいた為替条項も封印させた。トランプ大統領は、円高ドル安誘導を日本に対し脅しに使う恐れは当面薄らいだ。
 日本が輸入する品目の多い農業・畜産分野では、TPPで約束した以上の譲歩はせずに済んだ。
 牛肉と豚肉の関税は、TPPと同程度に引き下げる。スターリニスト中国からの輸入が報復高関税でストップしているため、トランプ大統領にとって票田の農業地帯のトランプ離れを、これで何とか食い止められる。
 これに対して日本は、機械や化学製品の関税の撤廃や削減を勝ち取った。

◎トランプ大統領の焦りに乗じて日本有利に
 実質半年での超短期での合意は、日本にとって望んだものだった。長引けば長引くほど、大統領選挙が近づき、トランプ大統領は強硬姿勢に転じかねなかった。
 それでもトランプ大統領は、世論調査で誰であれ民主党候補に劣勢という状況は焦っていた。米中貿易戦争の決着は見えない。EUとの自由貿易協定も、見通しはない。
 ここで日本との貿易協定を締結することは、大統領選を来年に控え、目に見えた成果になる。そこに、安部政権はうまく乗じた、と言える。
 国際交渉では、100%の勝利はあり得ない。55%対45%なら上々だろう。今回の日米貿易交渉は、日本が55%を得た勝利、と僕は見る。
 来年までもつれ込んだら、この勝利はあり得なかっただろう。

◎日本側の批准で来年1月1日にも発効
 なお今回の日米貿易協定は、アメリカでは議会の批准は要らない。日本が来たる臨時国会で批准手続きを済ませれば発効する。早ければ来年1月1日に発効、となるだろう。
 そうなると、アメリカ産牛肉・豚肉は安くなる。オージービーフよりよほど美味いアメリカ産牛肉がより身近になれば、それは個人的にもありがたいことだ。

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昨年の今日の日記:「エチオピア紀行(141):荒れ果てた礫ゴロゴロのティグレ族の村に立ち寄る」

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