ガニメデの優しい巨人＠読中感想文＠宇宙人

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488663025
　面白い！冒頭に宇宙人が登場するから、いずれ邂逅することが予想されたが、それは思いの外早くスペースオペラになってしまわないか懸念されたが、ちゃんとSFに留まっているのが素晴らしい。

　宇宙人とはどのような存在なのだろうか？我々地球人は月に行くのがやっとなのだから地球に来れる宇宙人は我々より優れた科学文明を持っていることは間違いない。

　そんな宇宙人の立場に立った科学者は少なくない。子供にナイフを持たせたら危ない。だから間違って子供の様な地球人の手に負えない様な文明を持たせないように用心深く我々と接しないようにしているという。現に我々地球人は自ら獲得した核兵器で自らを滅ぼす可能性から逃れていない。

　別の小説で、蟻が人間をどう認識するのか？というのと同じで我々は宇宙人を認識できずに「異質なもの」としか認識できない、とうのもある。

　似た文脈でNASAは防疫に頭を悩ませている。宇宙旅行に耐えうる微生物はごまんと居る事が判ってきたのだ。せっかく見つけた地球外生物を惑星探査機が持ち込んだ微生物で絶滅させかねない。昔に打ち上げた探査機で、もはや手遅れかも知れない。

　だから本書で宇宙人が地球人とどう接したかは述べずにおく。NASAが地球外生物への干渉を怖れるように私はネタバレを怖れるからだ。