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2018年12月02日20:40

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【展覧会】ルーベンス展(国立西洋美術館)

ルーベンスの絵はあまり好きではないし、ベルギー・アントウェルペンのルーベンスの家や聖母大聖堂にも行ったし、日本でも何度か回顧展を見ているし、今回は別に行かなくてもいいかな・・・と思いつつ、見逃すのも惜しいような気がして、結局美術館に足を運ぶ。
会場へ向かう階段を下り始めると、パイプオルガンの音が聞こえた。入り口のホールにスクリーンが設けられ、アントウェルペンの聖母大聖堂に置かれているルーベンスの祭壇画が映し出されている。パイプオルガンのBGMが響き渡る中、「聖母被昇天」や「キリスト降架」を眺めているうちに、「ルーベンスの作品はバロックな環境の中で鑑賞してこそ、意味があるのではないか」と思い至った。日本の美術館で展示されているルーベンスを見ても、暑苦しさに辟易するのみで感動はしない。だが、広い宮殿や天井の高い教会堂でルーベンスの大型絵画を目の前にしたら、うねりながら上昇していくダイナミズムにひれ伏したくなるだろう。
今回の展覧会では、第3展示室に大型絵画が集中して展示されていた。この展示室はそれほど広くはないが、天井が高い。16〜17世紀の人々も教会のような空間でこれらの絵を見上げ、信仰心を深めたのだろう。

どうしてもメモしておきたい作品は、ルーベンスの「アベルの死」。倒れた人物を頭頂部から見て描いている面白い構図の作品だ。最初は洗礼者ヨハネの斬首が描かれていたが、18世紀に2度にわたり別の画家たちによって頭部と犬、背景が追加された結果、ヨハネからアベルに主題が変わったとのこと。オリジナルのヨハネの斬首がどのような作品だったのかが非常に気になった。後年に頭が追加されたのは・・・きっと切り口がひどく生々しかったからなのかもしれない・・・。この作品と解説を見ている時に脳裏をよぎったのは、ルカス・クラーナハの「ホロフェルネスの首を持つユディト」。2016年11月に西洋美術館で開催されたクラーナハ展で見た、冷たくも美しい作品だ。ルーベンス展鑑賞後、すぐに美術館を立ち去っていたら、「アベルの死」は私の心の中から忘れ去られてしまっただろう。ところが、続けて常設展示室に行ったら、驚いたことにルカス・クラーナハの「ホロフェルネスの首を持つユディト」の別バージョンが2018年の新規収蔵作品として展示されていた!!
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