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2018年03月31日14:11

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太古からの知恵

脳は、脳細胞たちが単細胞生物アメーバのように触手を四方八方に伸ばして周囲の脳細胞たちと連絡を取り合う電話連絡網で、脳細胞たちの話し合いを可能にするニューロンネットワークが形成されていることによって思考できている。

ニューロンネットワークの複雑化が学習なのだけど、脳細胞一個一個の遺伝子にも学習を可能にする記憶の仕組みがある、ということは、単細胞生物アメーバに光刺激を何回も与えれば試行錯誤的にその場でもじもじしてから光から遠ざかるという運動を繰り返すうちに学習してすぐさま光から逃げ出すことが出来るようになる、という実験結果があることによって、分かる。

獲得形質の遺伝と言ってアフリカ人は生まれたときから黒いことからも分かるように遺伝子に情報を書き込むことは可能なのだ。

村上和雄という遺伝子工学の権威が遺伝子の精巧な作りを調べるうちにこんなに精巧な作りがひとりでに組み上がったはずがないと考えて作り主の存在を仮定してそれを宇宙に遍在する神と考えたのだけど、もしも我々生命が知識や経験によって得た情報を遺伝子を通して神という記憶の倉庫に貯蔵しているのだとすれば、記憶の書き込みや読み出しは神との交信であることになる。

神は世界創造後も世界から撤退せず世界内に居残っていて世界進行に介入することがあって、生命という構想が具現化したのも神が起こした奇跡だ、と旧約聖書に書かれているのだけど、神は非物質だから生物という物質的側面のみに目を付けていても生命の謎は解明できないのではないか。

奇跡がいつどこで起きるかは人智を超えた問題だとしても、見えざる神の手が生命を通じて世界の事態の推移に影響力を行使しているのだろう、と僕は考える。

心理学者ユングが、人類全体が太古から蓄えてきた知識や経験を個人がデータベースとして参照することができる、と言ったのは、個人において潜在能力のうちの顕在化している部分は氷山の一角にすぎない、という意味なのだろう。

クローン羊やクローン牛を体細胞から作るためには、羊や牛から体細胞を取り出して、それを飢餓状態にして、生死の瀬戸際に追い込んで、生きんとする意志を刺激してやればいいのだけど、そうすれば、細胞は、火事場の馬鹿力を発揮して、遺伝子のスイッチのオフをオンに切り替えて、眠れる潜在能力を覚醒させて、何にでもなれる万能細胞になる。

これが能力の限界だと思っている自分で作った壁を努力によって超えることができる、ということは、個人において遺伝子のオンになっているスイッチが全体の5%程度にすぎないという事実からも、言えるだろう。

記憶に関して言えば、遺伝子のスイッチのオフが記憶が倉庫に眠っている状態でオンが記憶を思い出している状態に対応する。

大人になって脳の成長が止まってから運転免許を取れるようになるのだけど、大人になってからでも車の運転を覚えていくことをはじめとする記憶学習が引き続いて出来る、という事実は、ニューロンネットワークの配線がつながっていくことでしか記憶を形成できないのでなく、遺伝子という記憶媒体に情報の読み書きが出来ることとして、初めて説明が付くのだろう。

生命の設計図である遺伝子を通して時空を超えて宇宙に遍在する神にアクセスすることとして記憶の働きは説明されるのだろう。

時空とは遍在者を局在者たらしめるものである。

「時間とは全てが一挙に与えられることを妨げるものである」と哲学者ベルクソンが言ったように、出し惜しみしつつ一つ一つ小出しにして与えていくところに、時間の本質は、あるのだけど、自他を共存させている空間において、なぜ無数の他者たちのうちの或る特定の一つだけが自己なのか、という問いは、なぜ無限の時点たちのうちの或る特定の一つだけが現時点なのかという時間についての問いと、同構造である、ということから、分かるように、空間の本質も時間の本質と同じで、自己が現れている間は現れていることによってそれ以外の全ての者は覆い隠されて消えていて、自己が現象し終えたら意識下に沈んでいた他者が意識上に浮かんできて自己として現象し始める、というふうに、自分は死ねば他人に生まれ変わるのだ。

このように、時空は全体を多くの部分に小分けにして一つづつ現象させていく現象の形式だから、時空という認識の形式によって捉えられる以前の内容は自他未分の一者全体だったと考えられるのだけど、自他未分の一者全体のことを、言い換えれば、自分以外の全ての者たちを内包している自分のことを、意識下において万人共通の普遍性と根底で通底している神とユングは呼んだのである。

「神は細部に宿る」という言葉は、如何なる部分の中にも全体の情報が入っているという無限の入れ子構造のことを、言っているのである。
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