平清盛の娘として生まれ、高倉天皇に嫁ぎ、安徳天皇の母となり、人生の絶頂を極めた建礼門院徳子。しかし天国はあっという間に地獄へと化す。平家一門は源氏に追われ、ついに滅亡。壇ノ浦で母と我が子に続いて海に沈もうとするも、源氏の武将によって海から引き上げられて生き延びてしまった彼女は、京都・大原の寂光院にてどのような思いで祈りの日々を送ったのだろうか。
建礼門院による六道の語りは、簡潔な描写ゆえに戦の激しさが連想された。
女性たちが暮らす庵室の、初夏ならではの爽やかさも印象的。
登場人物が多くて謡い分けが困難。セリフが多くて息抜きはできるが、謡の個所が技巧的で、典型的なパターンが通用しないときがある。
ログインしてコメントを確認・投稿する