mixiユーザー(id:735114)

2017年06月11日15:30

400 view

【オペラ】ジークフリート(新国立劇場)

週末に自宅で片付けようと思って仕事を持ち帰っていた。そんな余裕のない時に限って5時間40分(休憩込み)のオペラを見る予定になっている。苦手なワーグナー、苦行のリング、しかし、だからこそ見なければならないという義務感に押されて劇場へ。
作品自体に思い入れがないし、何しろ長くて飽きるし、鑑賞は散漫。休憩時間に元気になって仕事を片付けていた私・・・。だが、舞台をまともに鑑賞する気のない私でも今回の舞台が(というか、「ジークフリート」という作品が)与える衝撃は理解できた。

考えてみれば、こんなに凄いオペラは珍しい。「凄い」と一言で書いてしまったが、一言で片付けられるほど単純ではない。どのような言葉がふさわしいのだろうか。
「壮大」というのはちょっと違う。「研ぎ澄まされた」というのもまた違う。パワー全開でバリバリと「圧倒」してくるわけでもない。けれども、出演者たちの底力にひれ伏したくなるのはきっと私だけではないだろう。
スケールが大きすぎるリングの中で、「ジークフリート」だけは登場人物が極端に少なく、非常にシンプルだ。だが、それはつまり、出演者に過重な負担がかかっているという意味でもある。舞台の上には(小鳥たちの登場を除いて)多くて3人、歌っているのは1人か2人。合唱なし、フルオーケストラをバックにマイクレス。ソリスト数人だけでこの長丁場を、緊張感あり・笑いありで盛り上げていく。技術力、精神力、知力、何もかもが桁外れに秀でている歌手でないと務まらない。「ジークフリート」は何と恐ろしい作品だろうか。

今回のリングはテノールのステファン・グールドが全公演に出演(「ラインの黄金」ローゲ、「ワルキューレ」ジークムント、「ジークフリート」「神々の黄昏」ジークフリートの各役)するのが話題だが、個人的にはグールドの声にはあまり魅力を感じない。しかし、ローゲ、ジークムントと比較して、今回のジークフリートの出来はかなり良かったと思う。
ミーメ役のコンラッド、ヴォータン役のグリムスレイ、ブリュンヒルデ役のメルベートは揃って素晴らしかった。



演出:ゲッツ・フリードリヒ
指揮:飯守泰次郎
ジークフリート:ステファン・グールド
ミーメ:アンドレアス・コンラッド
さすらい人:グリア・グリムスレイ
ブリュンヒルデ:リカルダ・メルベート
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する