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2017年03月15日08:23

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【展覧会】ミュシャ展(国立新美術館)

ミュシャの展覧会は混雑するし、何度も見ているし、行かなくてもよいと思っていたのだが、「スラヴ叙事詩の全20作品がチェコ国外初公開」となれば話は別だ。これだけは絶対に見なければ!
というわけで、金曜夜の夜間会館を狙って美術館へ。ミュシャのアール・ヌーヴォーなポスターはスルーして、まずはスラヴ叙事詩のセクションへ直行しよう!と思って会場に入ったら・・・
「うわっ!」と、思わず声が出た。スラヴ叙事詩の超大型作品がいきなりどどーんと展示されていたのだった。

すごい。とにかく、すごい。その一言しかない。それ以外の感想がない。圧倒的すぎて呆気に取られてしまう。考えることも感じることもできない。
あまりに現実離れしている。610cm×810cm。こんな大きさのカンヴァスがあることにまず驚く。弟子が手伝ったとは思うが、作品の質が同レベルなので、ミュシャが全作品の最終確認をしたのだろう。20年近い歳月がかかるのも当然だ。というか、長い年月がかかっているのに作品コンセプトや質に変化がないのがすごい。その間、モチベーションが途切れないというのも信じられない。
いったいどのようにしたらこのような作品を作り上げることができるのか。ミュシャの執念? いや、「執念」というほど悲壮感が漂っているわけではない。でも、愛国心だけでこれほど大きな仕事ができるのだろうか。
チェコ出身の音楽家には、ミュシャの少し前にはスメタナ、ドヴォルザーク、ミュシャと同世代ではヤナーチェクが、民族音楽的な作品を発表している。19世後半から20世紀前半にかけては特に民族的自由を願う人々が勢いづきつつある時代だったことを思うと、「スラヴ叙事詩」に至るミュシャの情熱、熱狂も当然のことなのか。

チェコの歴史や文化に馴染みがないので、衣装、風景、小道具など何もかもが私には神話の世界のように感じられた。人物は等身大に近い大きさで描かれていて、それが四方の壁にかかっているから、部屋の中央に立ってぐるりと周囲を見渡せば自分もスラヴ叙事詩の世界観に浸れるかと思ったが、無理だった。鑑賞者が多くて落ち着かない。
それに、当時の芸術家たちの心身を突き動かすほどの強い情熱的な愛国心は、平和な時代の日本に生まれ育ち、日本から出る気のない私には、残念ながら一生理解できないだろう。だから「スラヴ叙事詩」にただ圧倒されるだけで、感情移入できないのかもしれない。
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