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2016年08月05日12:30

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パセオライヴ 三枝雄輔&三枝麻衣デュオライヴ終了!

三枝雄輔&三枝麻衣デュオライヴ

三枝雄輔さんの重量感のある踊りは、
フラメンコと共に育ってきた人だけが踊れるフラメンコだ。

気持ちがそのままストレートに動きに顕れる。
小学校を卒業してすぐにスペインに渡り生活してきた彼は、
フラメンコがどれほどヒターノの暮らしに密接しているかを肌で感じ、
それを純粋に血肉化したのだと思う。
いわゆるバレエや歌の基礎というフィルター無しに、
心も身体も直接フラメンコの洗礼を受けたのではないだろうか。
三枝さんのフラメンコからは、
気安さの笑顔の中にさえ、濃厚な黒いもの放たれ、
怖いような魅力に引き込まれてしまう。
それは共演者にも伝播する。
パルマとカンテのみで三枝雄輔さんを囲むブレリア。
雄輔さんのピトの乾いた音が降り注ぐように響く。小気味良いのに重量感がある。
エスペランサの舞台に雄輔さんの小宇宙が形成され、
フラメンコのコンパスの中で、
存在感のある身体で渦を巻くように自由自在に空間に挑み、
共演者全員を引き込んでいく。
スペインで修行を積んできた大ベテランである瀧本正信さん、川島桂子さん、
その奥深くにあるフラメンコ魂をあおり、火をつける。
三枝さんに引き出され解放されたフラメンコが、パルマにハレオに露出し、
バイレの三枝麻衣さんもギターの長谷川暖さんもひとつとなり、
舞台上の5人は恍惚となってブレリアのリズムに没頭していく。
老舗タブラオはいつのまにか次元を超え、
かの地のゾクゾクするようなヒターノの熱い溜り場を映し出していた。

三枝雄輔さんと麻衣さん兄妹のパレハは、
兄妹でありながら、火花が散らすような緊張感がある。
互いに引き付け合いながらけん制する緊迫した距離は近親憎悪ともいえる気迫を感じた。
バイラオーラの鈴木眞澄さんを母に持ち、祖母もカンタオーラ、
子供たちもフラメンコの舞台を踏むという四代に渡る、
日本では稀有のフラメンコ・ファミリー。
家族の血はどこまでも重く、
支え合える得難い愛情でもあり鬱陶しいしがらみにもなり得る。
その逃げることの出来ない濃厚な想いを
互いが螺旋状に積み上げていき、そして何か不動のものが形成されていくのだろう。
最後に雄輔さんが目で誘い、母親の鈴木眞澄さんが客席から踊りの輪に飛び込み、一振り踊った。優しい包容力が舞台を柔らかくひとつにしていた。
三枝雄輔さんは「プーロの旗手」であることを独走していく
唯一無二の存在であり続けるだろう。

パセオフラメンコライヴVol.30
三枝雄輔&三枝麻衣デュオライヴ

8月4日(木)高円寺エスペランサ
三枝雄輔(バイレ)
三枝麻衣(バイレ)
本正信(カンテ)
川島桂子(カンテ)
長谷川暖(ギター)

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