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2015年12月07日12:44

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【オペラ】ファルスタッフ(新国立劇場)

2006年9月のフィレンツェ歌劇場日本公演「ファルスタッフ」は、私のオペラ鑑賞履歴の中でワースト1、2を争う最悪の舞台だった。鑑賞し直したいと思っていた作品がついに新国立歌劇場で上演されることになり、期待と不安を胸に劇場へ。

ポップアップカードのような舞台装置は組み合わせ方によって旅籠屋、庭、室内に変化。衣装、小道具、部屋のしつらえは17世紀オランダ絵画を連想させる。
洗濯物とともに川に落とされたファルスタッフがオーケストラピットから這い上がってくる演出が面白い。
クイックリー夫人役のザレンバが秀逸。アリーチェ役のミコライは意外とコメディ向きかも。演劇的な要素が強く、オーケストラと歌手の演技とを合わせなければいけないところが難しい作品だが、日本人歌手は揃って善戦、フェントン役の吉田浩之が特に素晴らしかった。

音楽は2006年の舞台よりも今回の方が断然まとまりが良かったが、ドタバタなストーリーはどうしても好きになれない。このドタバタがある意味シェイクスピアらしいのだけれど、やりすぎ感は否めず。
ただ、私も大人になったようで、ファルスタッフの「名誉は言葉だけのもの」「金は進軍の司令塔」といったセリフには共感。名誉でお腹いっぱいにはならないし、病気や怪我も治らない。やっぱりお金は大事!(笑)
ラストの「この世はすべて冗談」の大合唱は今回も笑えなかった。この世がすべて冗談なわけがない。でも、嫌なことも辛いことも頑張って乗り越えて、笑い飛ばせる度量が持てるといいなと思ったら、急に切なくなって、涙が出そうになった。



演出:ジョナサン・ミラー
指揮:イヴ・アベル
ファルスタッフ:ゲオルグ・ガグニーゼ
フォード:マッシモ・カヴァレッティ
フェントン:吉田浩之
フォード夫人アリーチェ:アガ・ミコライ
ナンネッタ:安井陽子
クイックリー夫人:エレーナ・ザレンバ
ページ夫人メグ:増田弥生
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