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2015年08月23日01:42

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ボヘミアン・グレイブヤード

転職が決まって、空き時間があるのでロンドンに行くのだが、どうも心が晴れない。
予定では、過去のいろんな知己と連絡を取り、親交を復活していくつもりだった。

ひとつ考えたのは、何かの反動ではないかということ。

英語をやると決めてから、かなりのテンションで資格試験の勉強をし、英語小説を読み、映画やミュージカルの字幕を英語にし、ニュースは英語で、とやってきた。
7年いた職場の責任をまっとうし、ハローワークをうろつき、英語教師の仕事を得たが、TOEIC満点でも普通ぐらいの世界、カリスマが経営する小企業で、京都のせせこましい人間関係も難しい。主力は朝8時から晩12時まで働き、たまたま休日に行けば勢ぞろいしている。
なんとか抜け出そうと転職活動を再開、昔通ってた塾の面接で「母校なので」と言ったら、「なぜ受けるの初めてなの? 母校やのに」と皮肉を言われる始末。

転職エージェントに声をかけてもらい、会いに行ったとき、真剣に頭を下げた。
オレは仕事はやればまあできるんだ、が、どうにも就活でアピールするとかが苦手なんだと。
あなたは自分にないものをもっていてほんとにすごいと思う。力を貸してほしいんだと。
で、まあなんとかなった。
推薦を受けていくと、面接の雰囲気からガラリと違った。
広い意味でコネというのは大事である。景気も少しよくなっている。

英語は直接にいる仕事ではないので、そこまで打ち込むことはなくなった。
「フラニーとズーイ」の原書はもうすぐ読み終わるのだが、中断してしまった。
テンションが切れたら、ガックリきたのかもしれない。
そもそも、誰かに頭を下げて無難な待遇の会社にしがみつく、という生き方自体、青年時代の私の雰囲気とはぜんぜん違うものだ。

思ったよりもあまりにエネルギーが出ないので、人生訓めいたものを考えた。
人間、一生、一年、一週間、一日の中で使えるエネルギーは決まってるんではないかと。
それを超えたら、どこかでしっぺがえしがくる。
一時期メジャーリーグ大好きだったが、投手は過酷なので、まさにそれがあてはまる。
一年だけ輝く人、一試合だけ輝く人もいる。故障から一年後に復帰する人もいれば、輝きを失ったまま退却戦を数年戦う人もいる。

昨年ニューヨークに行ったときは盲目のエネルギーだった。
浜田省吾・佐野元春・尾崎豊・矢沢永吉といった人たちが、行き詰ったらアメリカに行き、自分をバラバラにして、また再生しようとする、そういう作品を知っていたので、自分もそうするもんじゃないかと自然にノコノコと行ったわけである。

ニューヨークに出張で行く人から、「歩きやすい靴で」とアドヴァイスをいただき、出発前に靴を換えた。
が、しょせんビジネスシューズ、しかもギャツビーの影を追って橋を渡ったりしたので、足はマメができ、血が出て、朝起きて歩きやすさで予定を決めるはめに。
また、「オペラ座の怪人」では、開演直後から吐き気のためうずくまり、かといって狭くて退場もできない拷問に。
何も考えず、絶えず全力を出しているとこうなるわけだ。

今回は、出発前日に空港ホテルに泊まることにし、前日の移動も新幹線使おうかというぐらいになった。
ウォーキングシューズというジャンルを知り、ダサいがアシックスのものをフィッティングを教えてもらって買った。僅かに大きすぎるようだが、ビジネスシューズとは雲泥の差だ。
次はニューバランスとかが欲しいが・・・

飛行機はエコノミークラス症候群が心配で、私は乗り物酔いにも弱く、神経質で最強のトラベルミンを飲んでも眠れず、最悪なのだが、現地のホテルも空港から近いので、がんばろう。
乳酸菌カプセルも届いた。
とにかく、ストレスを減らして、エネルギーを温存し、コンサートを寝ずに聴くというのが、ささやかな今回のテーマだ。

ロンドンは、あまり興味がなくて、レミゼに熱中してなかったら行く気力が足りなかっただろう。
ただ、いままでフラフラといろんなことをやってきたので、ロンドンぐらい行かないとおさまりがつかない、みたいなヘンな心理が働いている。

佐野元春の1992年のアルバム「sweet16」に、「ボヘミアン・グレイブヤード」という曲があって、
♪僕はどこにでもいけるさ
  けれど僕はどこにもいけない
  冷たいブルーベリーワイン
  シナモンチェリーパイ
  まるで夢をみていたような気持ちだぜ

という、そういう感じだけの歌詞なのだが、何か印象に残っている。
私も、今回は冒険に行くというよりは、なにか自分の青年時代を葬りにいくような気持ちがする。
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