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2015年03月31日10:14

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【展覧会】グエルチーノ展(国立西洋美術館)

「よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展」と書かれた展覧会ポスターを駅で見かけ、初めてグエルチーノという画家を知った。
ポスターに載っている絵は近代的な雰囲気があるように感じられたので、バロック時代の宗教画を意識した絵を描く近代の画家なのかと思っていた。ところが、後日入手した展覧会のチラシでグエルチーノが正真正銘のバロック時代の画家であることを知って、驚いた。400年前の絵をなぜ近代的だと思ったのだろう?
とりあえず自分の目で作品を見てみよう。いざ、美術館へ。

グエルチーノの作品は明暗もはっきりつけられているし、布の張り感やたるみ具合もリアルだし、躍動感あふれる人物画もある。でも、カラヴァッジョ、レンブラント、ルーベンス、ベラスケスなどの劇的効果、人体の圧倒的なボリューム感、性格まで伝わってくる的確な描写が前面に出ている作品とは違う。強い自己主張を感じない。
宗教画ゆえに上へ上へと見上げたような視線で描かれている作品は、見る者に信仰を強要するのではなく、ともに見上げようと優しく誘っているような気がする。
人物の顔が美しい。美しさ、かわいらしさの感覚が今の感覚と非常に近い。
宗教画としては威厳よりも平明な自由さが、人体描写はマニエリスム的な自由さよりも正確さが優先されているのが面白い。

宗教画ならではの難解さもあるので、40点そこそこで私がグエルチーノの全貌を理解できるわけではないのだが、節度があってやや控え目な作風がモダンに見える理由のひとつなのかもしれないと思った。

企画展を鑑賞した後は、常設展へ。常設展示室では2015年度の新規収蔵(寄託含む)作品3点がお披露目されている。
注目は、フェルメール作の可能性も指摘されている「聖プラクセディス」。もちろんフェルメールでない可能性も大いにあるのだが、絵画をめぐるロマンを感じる作品だ。

3月最後の土曜日。晴天で温かく、上野駅と上野公園は花見客でごった返していたが、西洋美術館は敷居が高い雰囲気のようで、敷地内は混雑とは無縁。常設展観覧無料日なのにもかかわらず、企画展も常設展も落ち着いてゆっくり鑑賞することができた。
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