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2023年04月01日21:58

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【展覧会】憧憬の地 ブルターニュ展(国立西洋美術館)

フランス北西部に位置するブルターニュ地方。ケルトの文化が色濃く残る地域だということは知識として知ってはいるが、それが芸術家たちにどれほど大きな影響を与えたのかということを想像することができない。
少し曇ったような空とひんやりとした空気感。美しく、時に荒々しい海。地域ごとに異なる女性の被り物。生真面目そうでストイックな雰囲気のある人々・・・。独特の風景や文化は確かに魅力的だし、「憧憬の地」となり得るポイントは多々あるが、展示されている作品が全体的に熱量控えめということもあり、ブルターニュでなければならない理由はないのではないかとも感じられた。
でも、ゴーガンは最初のタヒチ訪問の後、再びブルターニュを訪れているとのこと。タヒチと比較したい何かがブルターニュにあったのだろうか。

私自身も旅先で受けた衝撃や感動があるのに、展示されている作品を眺めても感情移入できず、そんな自分に納得ができず、モヤモヤした気分のまま最終セクションの展示室へ。

そこにあったのが、藤田嗣治「十字架の見える風景」。
カルヴェールを描いたものだという。「カルヴェール」を調べたところ、キリストの受難およびその生涯を表す群像彫刻で、ブルターニュ地方の特徴的な宗教建築に必ず含まれている要素のひとつとのことだった。
藤田が描いていたのはシンプルな十字架だが、インターネットで見たカルヴェールは盛りだくさんな彫刻が施されている。これらの彫刻が非常に興味深い。個々の彫刻の作りは素朴でも、全体は混沌としていて密度が濃く、少々グロテスク。キリスト教をモチーフにしていながらも異教的だ。
ゴシックと土着の文化が混ざり合った結果を見た気がした。そして、ブルターニュのカルヴェールを見てみたいと強く思った。現地の空気の中で、その土地に足をつけて、自分の目で。

画家たちが活躍していた当時、近代化への反動のようなものが向かった先がたまたまブルターニュだったというだけなのかもしれない。でも、多くの画家たちがその地でインスピレーションを受けているのだから、ブルターニュの景色や文化が大いなる魅力を持っていることは間違いないのだろう。

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