mixiユーザー(id:66120937)

2020年10月08日15:31

100 view

最初の3ヶ月 16(作成中)

「おーい、メイちゃーん。」誰かが呼ぶのが聞こえる。なんだよ。
「大変たいへん、もう授業の時間始まるよ!」
ん?じゅぎよう?あれ、ヨッチンなんでいるんだろう?ていうか、今いつだ??ここは?「うわ、さぶっ」
「急いで、あと5分しかない」
えっ?ここ外だ。校庭の端っこの、、ああそうだ、
あたし寝ちゃってた?ええー!?「うそだーー」「いいから行くよ!」「ええっだって他にも生徒がいたよねー、なんで誰もいないのーーなんで起こしてくれないのーー」「ああ他の人には見えなかったのかなあ」不思議なことを言った。「え!なにそれ?」「あ、俺のこと。存在感無いってよく言われる。」「えー、そう?小さくて見えなかったんじゃない?」「…。」
「もう掃除の時間終わってるー、サボっちゃった」「たまにはいいんじゃない。どうせ間に合わないかー」
と言って走るのをやめて歩きだした。「どうしよう、怒られるかな?」と私が聞くと、「別に授業に間に合えば大丈夫なんじゃない?」と言う。「ええー…」「大丈夫、大丈夫」「何やってたか聞かれたら?」「聞かれないでしょ。しれっと戻ったらええんよ」
でも靴箱の所に来ると、「先に戻ってな、俺ちょっと遅れて行くわ」と言う。「…帰らないでよ」「うん」「ありがとう」小走りで戻ってチャイムギリギリで間に合った。あの子は?もう教室に入れたかな?
そうだ、お腹痛かったことにしておこう、実際そういうこと多いもん。でもこの日に限ってお腹は少しも痛まないのだった。

結局、遅れたことは誰にも聞かれることなく一日の授業は終わった。ただ放課後、先生に呼ばれて「お腹が痛かったので…」と言い訳する羽目になった。嘘は苦しい。校庭で誰にも見られていないはずが無いので、嘘だとバレているかもしれない。いつも声が小さくて挙動不審なのが幸いしたのか、「今度から気を付けるように」と言われただけで、それ以上追求はされなかった。

夕方、ヨッチンのクラスにのぞきにいくと、また「カノジョが来たよ」と言われた。それが気分が悪くてたまらなかった。カノジョじゃねえ。
「行くよ」と言い捨てて先にスタスタ歩いて出るのを「また怒ってる?」と言われた。
「怒ってない。怒ってないけどムカつく。」
「どっちやねん」
あたしは友達になりたいんだよ。カノジョはイヤじゃ。
「メイちゃん笑ったほうがいいよー。怒ってると嫌われるよー」「うるさい。」
別に好かれなくていい。私のことを好きになる人がいるはずが無い。あんただってあたしのことは嫌いでしょ?…とは怖くて聞けないけど。

親友じゃなくて、ギリギリ友達なら、そこにいるだけなら、別に嫌いでも構わないよね?そう思っていたら、「そんなだったら友達できないよー」と言ってきた。うるさいうるさい。「だったらあんたが」「なに?」「いい、いい」よけいなことは言わない。怖い。

「あたしが行くのって迷惑じゃない?」「だって、嫌がらせなんでしょ?」「あ、そうか…そうだよね。」「かなり成功してるよ」「ああ、そうね」
やっぱりイヤなんだな。そうだよな。「別に嫌だったら断ってもええんよ」「あっそうなん?」
あああ、もう、「べつにやめてもいいよ、先に帰るよ」「怒んなや、どうせ同じ方向なんだし」「怒ってないし」「一緒に帰ってあげるからー」「はあ?」
何言ってるの。思わず自転車に飛び乗った。
「あんたなんか嫌いじゃ、ついてくんな」
なんでこうなる。ペダルに力を入れて漕ぎ出した。加減なんかしない。追いつかれないように。バーカバーカ。

うまくできない。あたしうまくないんよ。いなくならないで。
あの子の友達になれたらいいのになあ。

友達ってどうやってなればいいのだろう。朝の教室前でうろうろしながら考えていた。「遊ぼう」って言うの?何だろう、ちょっと意味わかんない。「どうしたの、春名さん自分の教室忘れた?」クラスの女子の誰かに声を掛けられた。どうせバカだと思われているよ。

やっぱりもう一度自転車置き場に行ってみよう。階段を走り降りて、渡り廊下を渡って。ちょうどいま着いたばかりで自転車を停めて荷物を下ろすところが見えた。
よかった間に合った。大きい声が出せないので近くまで走っていく。そこにいてよ。
「おはよう」ヨッチンから話し掛けられた。「おはよう、昨日はひとりで帰ったの?」「まあ、置き去りにされたからな」「さびしかった?」「なに?」「今日は一緒に帰ってやるよ」「ええけど、なんで上からなん?」「帰りに迎えにいくよ」

なんであたしが会いに行くことになってるんだろう。
どこでこうなった?
荷物を取って歩きながら「あんたが来てもええよ」と言ってみた。「うん、だからなんで上から…でも教室で話し掛けるなって、」「ああ、あれね、もうどうでもいいわ」話し掛けられても、たぶん返事できないけどね。「…いや、やめとくわー」「そう、じゃあ、後でね」と、走って先に教室に走って戻った。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する