『劇場版SHIROBAKO』
<ストーリー>
TVシリーズから5年後の武蔵野アニメーション。「タイマス事変」のトラブルによって社長は退陣し、業務は縮小されかつての仲間達の多くは退社し、いまや下請けの一部となっていた。そんな中で進行の宮森あおいは現社長の渡辺に劇場用アニメーション製作を打診される・・・
<コメント>
5年ぶりにまたあの愉快なメンバーたちに会える・・・と軽い気持ちで観にいったら突然の現在の状況に唖然とさせられた。あのムサニがあんなことに・・・。しかし、考えたら現実でも例えばその実績から海外のネット配信会社から名作のアニメ化を依頼されたスタジオの作品が出来てみたらとんでもない駄作だった先日の日記や、国民的伝説アニメを製作した会社がどんどん有能な人が辞めていって遂に役員の性犯罪で話題になったり、と現実にもありえるスタジオ事情をまずしっかりと描いたうえでそんな困難の中から主人公とその仲間は立ち上がっていく。
僕は「アニメーション作品とはアニメーションでしか描けない部分があるからこそ価値がある」という自論を持っているが、失意で夜道を歩くあおいに突如彼女の心の声のミムジーとロロが「あーしょっぱいなあ」とまさに第四の目を持って二人で話合うあたりからまさにこの作品の真価というか、アニメーションならではの『SHIROBAKO』の物語がスタートするのである。
あおいの熱意によってクリエイター達が集まってきて一見不可能に思える公開まで半年の劇場版作品製作を実現させようとする熱量が高まってくる。もちろんそれぞれのクリエイター達はクリエイターであるがゆえの葛藤に悩むけれども周囲の力を借りてそれを乗り越えてゆこうとするあたりはTVシリーズのバージョンアップ版でもある。
そして二重、三重に張り巡らされたクライマックスの感動。特に感心したのは作品がヒットしたとかしないとかではなく、それが名作であることを画面によって観客に納得させてしまう力技。
前の席に中学生らしき5人組が座って画面が暗くなる前は特典の色紙を互いに見せあったり他のアニメ作品の話などをしてけっこううるさかったのだが、上映が終わると全員実に静かでボソボソと感動を伝え合っていたのが微笑ましかった。
アニメファン必見の作品。
劇場版「SHIROBAKO」
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