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2019年04月09日18:20

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【オペラ】フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ(新国立劇場)

両作品とも、イタリア・フィレンツェが舞台、19世紀初頭に初演された1幕オペラだが、中身は正反対だ。
「フィレンツェの悲劇」は登場人物3名のみ。原作はオスカー・ワイルドの戯曲。ツェムリンスキーの金属的な音楽と硬質なドイツ語で商人とその妻と大公の息子との三角関係を描く悲劇。
「ジャンニ・スキッキ」にはたくさんの人物が登場する。原作はダンテ・アリギエーリの「神曲」で、遺産相続と若いカップルの恋愛を描く喜劇。プッチーニの晩年の音楽はかなりモダンだ。

「フィレンツェの悲劇」は、私にとっては非常に難解だった。権力者が絶対的な力を握っていた時代に、妻を誘惑するグイード・バルディに果敢に挑戦するシモーネの存在は画期的で、家族を守ったという意味ではハッピーエンドなのかもしれないが、ビアンカが本当にシモーネを愛しているのかが疑問。ビアンカは誘拐や監禁された被害者が加害者に共感してしまうストックホルム症候群なのではないか?グイード・バルディに言い寄られるときは、自分と夫の身を守るために盲目的に彼に従い、そして、グイード・バルディを殺したシモーネに「次はお前の番だ」と言われたら、「あなたがこんなに強いなんて!」と夫を絶賛して逃げ切る戦法を無意識的にとっているのでは・・・。

「ジャンニ・スキッキ」は人間よりも大きな書籍、書類、文房具が舞台セットになっているのが面白かった。これらの大きな舞台セットを動かしたりひっくり返したりすることで、親戚たちが書斎をひっかきまわして遺言状を探す様子が分かりやすく表現されていたと思う。ラウレッタのアリア「私のお父さん」は「結婚を許してくれなかったら川に身投げする!」という内容ではあるが、メロディーの美しさに心打たれる。



演出:粟國 淳
指揮:沼尻竜典
<フィレンツェの悲劇>
シモーネ:セルゲイ・レイフェルクス
グイード・バルディ:ヴゼヴォロド・グリヴノフ
ビアンカ:齊藤純子
<ジャンニ・スキッキ>
ジャンニ・スキッキ:カルロス・アルバレス
ラウレッタ:砂川涼子
リヌッチョ:村上敏明
ツィータ:寺谷千枝子
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