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2017年07月02日07:46

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【バレエ】ジゼル(新国立劇場)

3月にオペラ「ルチア」を見るべく新国立劇場に出向いた際、公演プログラムと一緒に手渡されたチラシ類の中に「狂乱の美学 ルチア、ジゼル、サロメ」と題されたリーフレットが入っていた。その中に書かれていた「狂乱の場の象徴とも言えるのが、オペラ「ルチア」であり、バレエ「ジゼル」である」という一文が妙に心に響いた。
オペラでの狂乱の場は何となくイメージができるが、バレエではどのように表現するのだろう? 見てみたい!
・・・というわけで「ジゼル」のチケットを購入。私にとっての新国立劇場2016/2017シーズン最後の舞台を見に、いざ劇場へ。

第1幕はジゼルの友人、村人、公爵一行なども登場し、賑やかで陽気な雰囲気。座席が上手側の端だったので、上手奥の舞台セットが見えず、アルベルトが剣を隠すシーンがどうなっているのかが分からなかったのは残念だが、それ以外は楽しめた。
狂乱の場は圧巻だった。「清楚で恥ずかしがり屋の若い女性が二股をかけられていたと知った瞬間、ショックのあまり半狂乱になり、死んでしまう」というのは非現実的な感じもするが、ダンサーが踊りと表情と仕草で、清らかさ、狂気、絶望を表すのには驚いた。

第2幕は、ふわっとした白いドレスを着たウィリたちが躍る、幻想的・ホラー的な場面。ジゼルは人が良いというか何というか、二股かけた男なんて放っておけばいいのに・・・でも、彼のことが本当に好きで、彼の役に立ちたいと思う気持ちも分からなくもない・・・と、見ているこちらも複雑な気持ちになる。
「若くして亡くなった女性たちが妖精となり、男性を死ぬまで躍らせる」とシチュエーションは優雅で美しい反面、非常に不気味。無邪気であるがゆえに残酷、繊細で湿度が高く、思い返したときにふっと背筋が寒くなるようなこの怖さは何と表現したらよいのだろうか。

個人的にはあまり興味が持てる作品ではなかった(舞台の出来は良かったと思う)が、静と動、喜びと悲しみ、昼と夜、生と死など対極の要素が多く盛り込まれているところに名作と呼ばれる理由があるのだろうと感じた。



改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ
指揮:アレクセイ・バクラン
ジゼル:米沢 唯
アルベルト:井澤 駿
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