傷ついた美人こさん　２

息子が小学校低学年の頃に離婚した美人子さんは母子家庭で頑張った。
元夫からの経済的援助は無きに等しい中、通訳の仕事をしながら。

さて、ヘルニアで腰が痛いのでコルセットをつけ体の動き全てが腰に響くような状態での一週間の仕事が終わった時、父親の家から息子が戻って着た。
美人子さんは息子に近所のスーパーでの数品の買い物を頼んだ。
お金は？
という息子に立て替えておいてねと頼んだ。
翌々日再びちょっとした買い物を頼んだ。
お金
と息子。
立て替えておいてちょうだい。
何故？
と息子。
だってお母さん、お金がないのよ。あなた貯金があるじゃない。
僕の貯金は僕の将来のためだ。
と不機嫌な息子。

もともと食費くらいは少し出して欲しいところなのだが、息子は出してくれない。
なので美人子さんとしてはこれくらいの小さな買い物くらい払ってくれてもいいじゃないかと思う。
息子は食費を出すくらいなら自分で食事の面倒は見るという。
ところが息子に任せればクリスプや菓子ばかり頬張るので任せられない。喘息持ちで鼻炎もある息子の母親としてはなんとか良い食事くらいは保ってやりたい。
この葛藤がしばらく続いていた。
そして美人子さんを打ちのめしたのは、腰の具合がとても悪く不安なのでしばらく家にいてくれないかと頼んだ時の息子のとった行動だったそうだ。
息子はさっさと荷造りして再び父親の家に行ってしまったのだと。

慰める言葉もなかった。