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2017年02月11日06:26

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【映画】エゴン・シーレ 死と乙女

妹のゲルティ、パートナーのヴァリ、妻のエディットは、シーレのそばにいて幸せでもあり、不幸でもあったように思う。
不幸の一番の原因はもちろんシーレだ。自分はやりたい放題なのに、ゲルティが勝手をするのを許さない。ヴァリと一緒に住んでいるのに彼女を妻にする気はなく、身元のしっかりしたエディットを選び、ヴァリには「休暇の間は一緒にいたい」と身勝手はなはだしいことを言う。そしてエディットを本当に妻として愛していたのだろうか? エディットと結婚する際にも、姉のアデーレではなく、単に「若いから」という理由でエディットを選んだような気がするのだが・・・。
だが、この映画はそんなシーレの野心的、自己中心的な部分を批判するのではなく、彼の画家としてのひたむきさ、彼の成功のために献身的に協力する女性たちのけなげさに焦点を当てていた。「感動した!」というわけではないが、シーレの芸術に対する純粋さが伝わってくる、良い作品だった。
個人的に期待していたウィーンの街並みはあまり映らず、郊外の映像が多かったが、ヨーロッパの景色が眺められるのは単純に嬉しかった。当時の風俗が分かるのも面白かったし、ドイツ語ゆえの臨場感もあった。

映画館の入り口に、シーレの代表作「死と乙女」を配した映画ポスターが貼ってあった。シーレの絵を見慣れない人にとっては不気味に感じられるようで、私が映画館に行った時も女性2人がポスターを見上げて「気持ち悪い」と話している声が聞こえた。
シーレの没後から約100年、なんでもありの現代でもまだ気味が悪いと思われてしまう彼の作品は、発表当時はかなり衝撃的だっただろう。
流行していたスペイン風邪により、わずか28歳で世を去ったシーレ。ゲルティのように80歳代まで生きていたら、どのような作品を残しただろうか。



監督:ディーター・ベルナー
エゴン・シーレ:ノア・サーベトラ
ゲルティ・シーレ:マレジ・リークナー
ヴァリ・ノイツェル:フェレリエ・ペヒナー
エディット・ハルムス:マリー・ユンク
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