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2016年11月23日09:14

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映画『幸福のアリバイ〜Picture〜』作品レビュー

★★☆☆☆
 陣内孝則が9年ぶりにメガホンをとった本作。
 陣内孝則監督作としては、長編映画第3作目。全ての人に訪れる“人生の節目”をテーマに、人生が愛おしくなる最高のハッピー・エンタメ・ムービーを誕生させた作品です。
 本作で描かれるのは、人生の一大行事ともいえる「葬式」「見合い」「成人」「誕生」「結婚」の5つのエピソード。そのうちストーリー的には「見合い」の続編として「結婚」が描かれるのを除いて、他のエピソードは独立したオムニバスとなっていました。

 各エピソードに共通するのは陣内監督の演出過剰。ドタバタに近い登場人物の葛藤や対立にはうんざりしました。全編がショートコント風で登場人物や場面展開が少ない分。セリフで状況を語ろうとするところに疑問を感じました。しかも全部コントにしては滑ってるぅ〜(-_-;)

 また各エピソードには陣内監督ならではの毒気がたっぷり。例えば「葬式」では、描かれるのは、ヤクザの葬式。そうとは知らずに会をとりなそうとする葬儀屋まではなんとか許せたのですが、故人の残した遺書の内容で揉める親族・知人・息子たちのその理由というのが、常識では考えられない故人のわがままだったのです。ほんと阿保らしや!

 「見合い」では、婚期を迎え、好条件の見合いに目がくらむ女と、運悪く浮気が発覚する男のドタバタ劇。そのままスパッと別れて物語が即終了する話なのに、叩き出された音が戻ってきてリフレインするところがなんともくどかったです。

 「成人」では、成人式というハレの日に、スーツではなく特攻服で行こうとする息子がまず変!それを必死に止める母親し当然として、非常識ないでたちの息子を全然咎めようとせず、自分たちが結婚した時の昔話を聞かせようとする父親の妙な落ち着きぶりが気になって仕方ありませんでした。

 「誕生」では、出来ちゃった結婚をし、出産を控えた妻の元へ向かう夫と、あからさまに八つ当たりをする義父。この義父役が柳葉敏郎で、はまり役。何も語ろうとしなくても怖い存在でした。
 病院につくまでの流れはコミカルなものの、怖い義父が孫を前にして見せるオチがなんとも(-_-;)

 「結婚」では、「見合い」で別れたはずのふたりがそれぞれ仕事で依頼を受けて、とある結婚式で再開するものの知らんぷり。男のほうが仕事を忘れて参加者の女性の財力に惚れて、口説こうとしたところから、彼女といい仲になっていた、超一流のプロ野球選手に無謀な野球勝負を挑むというありえなさが極まったお話。

 とにかく、一種風変りな人物ばかり登場させて、どこか共感できる悩みを抱いた普通の人々を描こうとした監督の目論見は完全に破たん。そんな悩める人々心の機微をコミカルに描きたいのだったら、もう少し山田洋二監督の爪のあかでも煎じて飲み干すお勉強が
必要でしょうね。
 
 脚本を手掛けたのは、「桐島、部活やめるってよ」の脚本家・喜安浩平だけど、原案は陣内監督が考えたものだから、相当に押し込まれているのでしょう。監督の人脈で日本の第一線を走り続けてきた俳優が集結しているので、豪華キャストが何とももったいないと感じられた作品でした。

●Introduction
 俳優としても活躍する陣内孝則が『スマイル 聖夜の奇跡』以来となる監督を務め、『桐島、部活やめるってよ』などの脚本家・喜安浩平とタッグを組んだコメディー。人生の分岐点である冠婚葬祭をテーマに、風変わりな登場人物たちが織り成す悲喜こもごもを描く。キャストには中井貴一、柳葉敏郎、大地康雄、浅利陽介、渡辺大、木村多江ら多彩な顔ぶれが集結する。

 ヤクザの葬式だと知らずに取り仕切る葬儀屋と、遺書の内容でごたつく親族たち。結婚適齢期になり条件のいい見合い話に乗り気な女と、不幸にも浮気がバレた男。特攻服で成人式に行く息子を止めようと必死に説得する両親、出産間近な妻のところへ向かう夫に八つ当たりする義父などが、人生の節目で泣き笑いする。
[日本公開:2016年11月18日]

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