叔母の葬儀に出た。
母の妹で、これで母の兄弟姉妹はいなくなった。
叔母はパーキンソン病を患い不便な日常を送っていた。
自宅で倒れてからは介護付きのケアーホームで暮らしていた。
姉である母や彼女らの兄である叔父さんを連れて何度かホームを訪ねたことがある。
叔父さん特製の煮たサツマイモを全員で食べて楽しくおしゃべりしていた。
私もサツマイモをいただいて彼らの昔話を聞くのが嬉しかった。
余ったおサツマをラップに包んで冷蔵庫にしまうのは決まって母の役割だった。
叔父さんや母が亡くなってからは私も叔母を訪ねる機会を失っていた。
パーキンソン病が悪化してからは病院に入っていた。
姉といとこと私の3人でお見舞いに行った。
叔母は私たちの姿を見てすぐに誰が来たかを理解した。
いとこや姉と話したあと私の顔を見ると
「おっかさと会える」とぼそっと言って自慢げな顔をした。
勝ち誇ったような顔。
上から目線。
一瞬意味が分からなかった私だったが、しばらくして気がついた。
もうすぐ召されるので、そうしたら私の母と会えるという意味だ。
私も母と会いたいのだろうが叔母の方が先に会えるからということを自慢していた。
自分の最期を予感し、それを期待しているようでもあった。
あれから9か月が経過した。
あの時の優越感に満ちた顔は今棺の中にあり、その顔は思った以上に痩せていた。
ほとんどが白い中でイチバン派手な花を探した。
赤いユリを掴んで持ち上げると大きな花が3輪付いた長い枝ごとの物だった。
色白の顔に白髪が似合い上品な雰囲気は生前と同じだ。
頭のところにユリの花を寝かせた。
短く切った白髪に少し触れた。
「あんたも会いたいかい?」
叔母の声が聞こえてきそうな感覚だった。
母は87歳、母の母親も87歳、そして母の妹も87歳。
これほど正確なタイマーが組み込まれている。
自分のタイマーは父系なのか母系なのか。
誰も分からないが組み込まれていることだけは事実だ。
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