キネカ大森で西遊記特集を見る。「モンキー・マジック 孫悟空誕生」。ドニー・イェンの孫悟空、チョウ・ユンファの玉帝、アーロン・クオックの牛魔王とキャストが充実。天界と魔界の争いから孫悟空誕生から五行山に封印されるまでの、西遊記以前の話。ただ、伝説を平板に並べている感じで、どうも乗れなかった。
イェンの素顔がほとんどわからないほどメイクした「猿芝居」は良かったが、アクションとCGの食い合わせが悪い。生身で戦った「カンフー・ジャングル」ほと冴えないのだ。予算がかかっているようなのだが、出来は残念。そしてエンドロール長すぎ。
「西遊記 はじまりのはじまり」は、チャウ・シンチー監督の新作。ウェン・ジャンの若き三蔵法師は妖怪ハンター。自らの善の心でで妖怪を殺さずに改心させようとするが、失敗の連続。師匠に「足りないものがある」と言われ、修行の旅に出る。
冒頭の妖怪襲撃場面で、助かると思った子どもが死ぬ衝撃。そして殺した妖怪が後の沙悟浄。この毒のある前半から面白い。イケメンの猪八戒、冴えないおっさんの孫悟空と、意外な展開。
シンチー流のギャグとしては、女性妖怪ハンターの手下が、作りものの血が止まらなくなる、女性ハンターと孫悟空とのやり取りがアドリブ風など、こちらも好調。
愛する人を失い、「足りないもの」を悟る三蔵法師に、素直に感動させられる。これは青年が三蔵法師になる成長物語でもある。一行が「Gメン75」のテーマに乗って旅立つラストは笑うところだろうが、ちょっとうるうる。シンチー監督は、自らが孫悟空を演じた「チャイニーズ・オデッセイ」も面白かったが、それと並ぶ快作。
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