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2015年11月05日09:34

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【展覧会】 プラド美術館展(三菱一号館美術館)

夜なのに混んでいる! 小さい絵が多い! うわ、ストレス溜まりそう!!・・・と思ったが、すんなりと展覧会の世界に入り込めた。小ぶりながらも雰囲気とレベルが統一された100点超の作品は非常に見応えがある。有名画家の絵も多く、かなりテンションの上がる展覧会だ。
しかし、それゆえに、閉館時間が刻々と迫る夜間は、別の意味でストレスが溜まる。絵をゆっくり見たいという気持ちを抑えて厳密にペース配分をしないと、部屋を回りきれなくなってしまうからだ。
時間がなくて焦りながらも、メモを取った作品は結構多い。しかし、これをすべて載せると冗長になってしまうので、各セクション1作品だけをピックアップしていこう。

第1章 中世後期と初期ルネサンスにおける宗教と日常生活
ヒエロニムス・ボス「愚者の石の除去」が個性的で面白い。背景の透明感も素晴らしい。

第2章 マニエリスムの世紀:イタリアとスペイン
エル・グレコ「受胎告知」は何かの習作なのだろうか。しかしそれでもグレコらしい伸びやかな人体や神々しさはしっかり表現されている。

第3章 バロック:初期と最盛期
フアン・バン・デル・アメン「スモモとサワーチェリーの載った皿」は果物の質感が見事で、おいしそう(笑)。金属のお皿の縁に果物が映っている様子もリアル。

第4章 17世紀の主題:現実の生活と詩情
フランスの不詳の画家による「自らの十字架を引き受けるキリスト教徒の魂」が斬新。背景は十字架が林立する、まさに十字架の森。近代の宗教画を見ているような気がした。

第5章 18世紀ヨーロッパの宮廷の雅
アントン・ラファエル・メングス「マリア・ルイサ・デ・パルマ」は本展覧会中、ある意味もっとも衝撃的だ。ゴヤの有名な「カルロス4世とその家族」の中心に堂々と立つゴツい肝っ玉母さん(カルロス4世妃)の若かりし頃の姿だとは!!

第6章 ゴヤ
社会派なイメージが強いフランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスだが、ロココ的な絵も描く。「目隠し鬼」は私にとって子供の頃からオシャレだと思い続けていた憧れの作品。

第7章 19世紀:親密なまなざし、私的な領域
近代的な作品ばかりでプラド美術館のイメージと合わなくなってくるのだが、ライムンド・デ・マドラーソ・イ・ガレータ「セビーリャ大聖堂のサン・ミゲルの中庭」の写真のような小ささとリアルさが目を引いた。

中世から近代までのヨーロッパ文化のエッセンスを連続して眺めることができる機会はあまり多くはないのに、本展覧会ではそれができてしまう。地味な作品のみでこのような体験ができるのは、プラド美術館の収蔵作品数とセンスのおかげと言えるだろう。
実際にプラド美術館に行くと超メジャーな作品にしか目が行かなくなってしまうので、渋い小品を鑑賞できる今回の展覧会に感謝したい。
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