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2015年05月11日10:17

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【展覧会】ボッティチェリとルネサンス展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

ボッティチェリ作品10点(帰属、工房作を含めると17点)を一度に鑑賞できる展覧会。
貴重な機会ではあるが、しかし、聖母子像ばかりで全体的にインパクトに欠けていて、出品リストを見ても思い出せない絵が多い。
そんな中で特に目立って素晴らしかったのは以下の2点。

1つは1481年作の「受胎告知」。ウフィツィ美術館所蔵、5メートル超のフレスコ画だ。この有名作品がまさか渋谷で見られるとは! フレスコ画特有の色の淡さ、大天使ガブリエルの軽やかな動き、神の意思を受け入れようとしつつも戸惑っているマリアの表情、洗練された室内の描写等々、どこを見ても繊細で感動的だ。
もう1つは5月6日までの限定公開だったピアチェンツァ市立博物館蔵の「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」。「期間限定」という文字列に負けているだけなのかもしれないが、非常に密度の高い作品。色鮮やかで、空気がぎゅっと圧縮されているとでも言えようか。出来上がりにムラがあるように感じられる作品が少なからずある中で、本作は全身全霊を打ち込んで描き込んだような濃さがうかがえた。

そのほかに面白かったボッティチェリの作品は1500〜1505年頃に作製されたもう1つの「受胎告知」。こちらは動きが硬く、マリアも少し老けていて疲れた感じ。ガブリエルの登場に「またですか・・・」と溜め息をついているようにも見えて、思わず笑いそうになってしまった。
絵画以外ではアンドレア・デッラ・ロッビア工房による彩釉テラコッタの「聖母子」が良かった。とても清楚で、月に照らし出されているような色合いが美しい。

同行してくれた友人が「ボッティチェリが描くマリアは意外と男性的だ」と言っていた。確かに、フィリッポ・リッピやラファエロの描く女らしさ全開なマリアと比べて、ボッティチェリのマリアは理知的でクールな感じがする。
自分自身がさっぱりタイプで、カッコいい系を目指しているからだろうか、そういえば私はリッピやラファエロよりボッティチェリの絵のほうが好きだ。
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