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2014年12月02日14:30

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【オペラ】ドン・カルロ(新国立劇場)

突き抜けるように鮮やかなテノールと、堂々・朗々と響きわたるバス。これほどに迫力のある歌声を聴くのは久しぶりだ。ドン・カルロ役のエスコバルとフィリッポ二世役のシヴェクの2人が圧倒的すぎるので、客観的に評価すれば各アンサンブルはかなりバランスが悪いのだが、そんな細かいことをいちいち気にしていられないほど、とにかく力強かった。
後半、エスコバルが徐々に息切れをしてきた感じがあり(笑)、ロドリーゴ役のヴェルバ、エリザベッタ役のファルノッキア、エボリ公女役のガナッシが地味にパワーアップしてきたので、最終的にはバランスも整って素晴らしい舞台になった。

テノールとバリトン、バリトンとバス、バスの二重唱と、男声アンサンブルが多いのはこの作品ならでは。それに負けないパワフルさが女声陣に求められている。聴く側にもタフさが必要だ。おまけに今回の公演では休憩は2幕目と3幕目の間の1回のみ。1〜2幕、3〜4幕をそれぞれ続けて鑑賞するのはさすがに疲れた。飽きることはなかったけれど。

大掛かりで閉塞感のある舞台セット、スタイリッシュな衣装。16世紀スペインの政治・愛憎劇ではあるが、時代性よりも、登場人物たちの心理を強調する演出になっているのではないかと思えた。
フィリッポ二世は圧政で人々を押さえつけることはできても、身近な妻や息子の心は意のままにできず、それが自分自身をいらだたせ苦しめている。不器用な人なのだな・・・と、ちょっと切なくなった。



演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
指揮:ピエトロ・リッツォ
ドン・カルロ:セルジオ・エスコバル
フィリッポ二世:ラファウ・シヴェク
ロドリーゴ:マルクス・ヴェルバ
エリザベッタ:セレーナ・ファルノッキア
エボリ公女:ソニア・ガナッシ
宗教裁判長:妻屋秀和
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