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2011年05月03日00:40

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正義の顔

再送:ビンラディン容疑者の遺体、海で水葬=米紙報道
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1589757&media_id=52

世紀の大悪人に正義の鉄槌が下されたということで、米国はお祭り騒ぎである。祝う気持ちもわからんでもないが、熱狂が冷めたらここはテロリズムを憎む人たちにもじっくり考えてもらいたいことがある。

ビンラディンが居なくなってもテロの脅威は去らない。彼はしばらくに多くの人にとって英雄になっていたのであり、今回の殺害により殉教者となり神格化されるだけのことだと思う。テロリズムを根絶したいのであれば、テロの土壌となっている不正義に目を向ける必要がある。

テロは卑劣なものなのであるが、それは弱者の闘争手段でもある。正面から闘いを仕掛けても勝ち目のない者たちが絶望に駆られたときに初めて人々に受け入れられるものである。テロは許し難い行為なのだが、人々をそんな許し難い行為に追いつめる理由も考えないとならない。イスラム教の聖戦だなんて理由は原理主義者とその批判者によって後知恵でつけられるもので、人々をテロリズムに追いやる理由は別のところにある。

多くの犠牲者を出した9/11ではあるが、それより多くの人々が中東では犠牲になってきた歴史があるのだし、その歴史は過去のものではなく、この瞬間にも犠牲になっている者がいるのである。そして、そこでは被害者が加害者になって、また加害者が被害者になるという悪循環が繰り返されてきたのである。

ビンラディンのようなテロリストに同情が集まるのはこの不正義があるからである。その事実に目が向けられないかぎり、一人や二人の悪人に鉄槌を下したところでこの悪循環の延長にすぎない。報復が報復を生んで対立に油を注ぐだけであると思う。仮にテロを一時的に抑えたとしても、その解決からはほど遠いのである。

今回の鉄槌を下した正義の顔はどうも怪しいほど西洋人に似ている。そして、正義の目隠しは一方の悪に対してだけは大きく開かれているようである。こちらの正義はあちらの不正義であっては、正義というのは自分の意思を力で押し付けることの別名に過ぎない。今求められているのは正義は西洋にあるのかイスラムにあるのか、文明を選ぶか野蛮を選ぶか、あちら側かこちら側かという判断ではない。被害者が同時に加害者であり、文明の名の下に野蛮が行われてきた「人間の歴史」を辿って、対立するように見えるいろいろな場は実は根底でつながっているということを自覚することなのである。
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