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日記一覧
- 第一次聖都攻略戦（バルジ作戦）��
- 2019年12月27日21:33
三角の青地に金刺繍のローレルの草が円環を為す。その真ん中に横向きのハウンド・ドッグ。それに続く「IZMIL」の金文字。 それが新規に出来たイズミル隊の旗だった。 大ユピタルに入植した者は、地球（テラ）でいう所の中東の人種が多い。中東の人は犬を
- 第一次聖都攻略戦（バルジ作戦）��
- 2019年12月21日15:01
「『軍備を整備しながら守勢を期待するという状態は、いかなる国家も堪え得るものではない』」 紆余曲折あって、何とか普段の姿勢を取り戻した扇子男こと、フィデル参謀の第一声がコレだった。 無論、サンダリエ将軍率いるシーラーズ隊の突出作戦は聞き出
- 第一次聖都攻略戦（バルジ作戦）��
- 2019年12月18日18:49
前にも書いたと思うが、もう一度重複することをお許し頂きたい。 軍閥（ウォーロード）跋扈するユピタルの地では、階級などにあまり意味は無い。 小豪族であれば、独立して覇権を唱えるでも良いし、大豪族に摺り寄った後で階級を買う事も可能である。 こ
- 第一次聖都攻略戦（バルジ作戦）� 州�
- 2019年12月17日17:47
ユピタルヌス歴322年、13の月の1８日。 翌日とて、同じ不毛な議論に磨り潰されるのか…と思うと、扇子でいくら隠してもフィデル・マスーラの顔色は冴えない。だが、議会場へと近づくと昨日とは打って変わって慌ただしい気配に包まれている。 「どうした…
- 第一次聖都攻略戦（バルジ作戦）� 州�
- 2019年12月06日15:44
ユピタルヌス歴322年、13の月の17日。 大パラチンスク要塞の陥落とセミ＝パラチンスク要塞の防衛成功を以て、パンジール・ウルケーを主体とする北部同盟は大勝利を収めた。 それは『アトゥンの火』の圧政に長年苦しめられてきた聖都・Ａ→Ｈ（アルトゥー
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年11月21日19:47
その日、同時に火蓋が切り落とされた。 そして殆ど同時に攻守両側で西側の壁が撃ち払われた。 だが、思い違いが二つ、ある。 一つは『アトゥンの火』機甲師団。西側の壁が如何にフェイクとはいえ、まさか紙一枚のぺらだとは思わなかった事。だから斉射
- 大嘗祭の考察
- 2019年11月14日12:15
天皇が皇位継承する際に行われる、一世一代の式典であり、祭祀である…… 多分、テレビとかでこんな感じに報道しているかと思います。じゃあ天孫ニニギや神武天皇はしていたのか？ いいえ。どっちもNOです。本日はなまなかお目にかかる事の出来ない、大嘗
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��ー２
- 2019年11月13日15:34
同日、要塞内でも悩ましげなる司令官が居た。 言わずもがな、ノラである。 「一人、残弾数20発、徹甲弾は3発って…どういう事すか！」 「重機（※重機関銃）も弾なしだから使用不可……手榴弾もなし、擲弾筒もなしで戦えるんですか！？」 「そもそも…
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年11月11日20:06
『アトゥンの火』臨時司令部に陣取っていた、ムハンマド・オマル親衛隊機甲師団長、イスマーイールが奇妙な報告を受け取ったのは、正午過ぎだった。 「なに？ 敵要塞からランダムに電信が送られている？」 チャンネルはバラバラだが、全方位に同様のメッ
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年11月08日15:43
明けて17日。 未だ日の光は届かない月齢なので、母なるユピタルがその大赤班で物憂げに此方を見つめている。 12時間近く寝てしまったという事かと、働かない頭を必死で巡らすノラ。つまりそれは、敵の侵攻も無い、という事だ。 「敵さんの動向は？」 歩
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年11月06日10:34
敵の照明弾が竜が空を駆けるかの如く、何発も打ち上がる。 辺りが「昼日」の様に明るくなって、地響きと共に雲霞の様に敵兵は駆け寄ってきた。 総力戦だ！ 『アトゥンの火』側も、余裕のあるうちに我々守備隊の体力を削いでおきたいのだろう。 とはいえ
- 無敵の人
- 2019年10月26日00:02
『ジョーカー』観てきました。素晴らしい出来合いでしたね。なるほど、彼は「無敵の人」だったんですな。何も持たざるが故に、何も失うモノがない。だから無敵状態。トランプのジョーカーも、スペードやハートではない、「何者でもない」。だから数あるトラン
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年10月17日18:38
身体中が痛い。 油の切れたロボットの様に関節がギシギシ言っている。 もう何日寝ていないのだろう。 昔、地球（テラ）の偉い皇帝が、「良い軍隊とはよく歩く軍隊だ」とか言っていたらしいが、ここでは「良い軍隊とは眠らない軍隊だ」と言い換えられるだ
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦�Α檻�
- 2019年10月04日13:55
「ムーヴムーヴムーヴッ！ ムーヴムーヴムーヴ……！」 開かれたハッチ近辺で、腕が千切れんばかりにノラが手を振り回すと、兵隊がドバっと排出された。 イェディ1等兵が作戦直前で言っていた、「空き巣は3分以内に終わらせますぜ、じゃねえと捕まるリス
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦�Α檻�
- 2019年09月28日19:07
ガタッガタタッ！、 小さな翼はビクともして、大変不安な気持ちを掻き立てる。 ガルガンティン司令部から支給された小型輸送船を改装し、人員をギリギリまで詰める様にしつつ、最大戦速でスッ飛ばしてるのだから、そりゃあ乗り心地も悪ければいつ空中分解
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年09月26日19:20
着陣してから翌日の15日早朝。空気の振動が、要塞に籠る兵の心臓を止めんばかりの大音量で、『アトゥンの火』軍楽隊の太鼓や笛の音（ね）が轟いた。 どんどんどんどん、ぷわーん 『アトゥンの火』名物、パシュテューン行進曲である。 この音を聴いた者
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦�ぁ檻�
- 2019年09月19日19:26
3日経った午前中に、『アトゥンの火』の本隊が到着した。意気軒昂のため、軍楽隊が派手に、ド派手に、煌びやかな衣装と耳をつんざく太鼓と長い笛を鳴り散らかして、強襲揚陸艦のタラップかろ降りてくる。 続いて虎の子の戦闘車大隊。コレは『アトゥンの火
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦�ぁ�1
- 2019年09月16日19:42
近隣の村には軒並み総動員を掛けた。兎に角、時間との勝負だ。 「普請の速さと見事さで3位までは金一封が出るぞ〜！ 皆の衆、けっぱれー！！」 デカが偵察バイクで駆け抜けながら怒声を張り上げる。 作業中の数百人からなる村人衆から大歓声が上がった
- 檀信徒制度について
- 2019年09月10日16:25
寺院がここまで存続できたのは何でかという事について。 コレはあからさまに江戸時代初期の宗門人別帳…通称「宗門改め」によるところが大きいと思います。 原城の『島原の乱』から苛烈な宗門改めが行われて、日本に住む全ての民草は各寺院に出生と死亡、
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��−２
- 2019年09月10日13:29
「接敵方角は分かるか？」 メメット中尉を無視して、ノラがデカに話を振った。 「ま、普通に考えれば西部か南部ですや……」 デカが言い終えるよりも早く、今度はドクズが駈け込んで来た。 「た、大変です！ 敵先遣隊が4次の方角に来てます！ そんで
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��−1
- 2019年08月28日04:16
「はひゃああ！」と腰が砕けた中尉を放っておき、ノラがドブロクに報告の先を促した。 「何で2個師団だと分かるのか？」 「は、はいッ。高速移動する輸送船団が3隻来るからです。スピードから察するにヴ帝国のホレス・マッコイ級強襲揚陸艦だと思います。
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年08月22日17:50
ユピタルことエウロパの気候は基本、冬と大冬とブリザードと春の四季がある。テラ時間で3.55日…つまり85時間13.7分が一日であり尚且つ一ヵ月なのだが、先人達はどうしてもソレに馴染めず、地球（テラ）時間に準拠している。 ユピタルヌス大陸はかつて常に
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦� 檻�
- 2019年08月19日18:09
その日、久々にガルガンティン市街の総司令部（Ｇ.Ｈ.Ｑ）に呼ばれたノラ・シアンは、未だ工事の足組が組まれたホールを歩きながら「ココ、一生直らないんじゃないんだろうか…」とぼんやりと考えていた。 「おめでとう、君は昇進だ」 参謀司令部の扉を開
- セミ＝パラチンスク要塞攻防戦��
- 2019年08月18日18:33
ユピタルヌス歴322年13の月、朔（１）日。 ガルガンティンを電撃的に急襲し、成功したパンジール・ウルケーの元にはウスキュダル王国を始めとして、トラブゾン・ディヤルバクル・ガジアンテップ・ムアントロス…等の近隣王国が参集し、日々軍容が強大化
- 盂蘭盆（うらぼん）考
- 2019年08月12日10:45
お盆はいつごろ発生したのか。久しぶりに考察していきたい。 １：出典の曖昧さ 盂蘭盆経というお経が出典とは言われているが、基本的に４〜６世紀ごろに出来た偽経ではある。但し、原典もあって完全に偽経とも言い難いし、そもそも仏教というのは６０００
- イズミル再建��
- 2019年08月09日19:35
20日、明朝。 対策本部を駐屯地に移し、そのまま救急本部と報告委員会へと名前を変えた。 「200人……か」 ノラが呟いた数は、無くなった人の数。 人口は約5000人程だったと報告書にあるから、単純に考えれば４％の損失ではある。だが200人分の人生と可
- イズミル再建��
- 2019年08月04日07:41
ユピタルヌス歴322年 11の月、19日の深夜。 ぐっすり眠っているノラを叩き起こしたのは、デカの軍靴がドアを蹴破る音だった。 「隊長、大変だ！」 「……え？」 「火事だ！！」 慌てふためきつつガバッと跳ね起き、窓のカーテンを引きちぎらんばかり
- イズミル再建��
- 2019年07月29日18:54
ドブロクからミッチリしごかれ、結局昨日のどんちゃん騒ぎはノラの給料から差っ引かれることになってしまった。 到底数か月分では賄えないらしく、1年間の月賦が掛かるという。金利はなんと、駐屯地の方で負担してくれるらしい。ケツの毛まで抜かれて涙も
- イズミル再建��
- 2019年07月26日06:09
翌日、ノラは早速嫌な相手に遭遇し、心中で「げぇっ」と虫を吸い込んだような時の様な声を出した。 「いよぉ〜、ノラ特務曹長じゃないかぁ〜」 馴れ馴れしく肩に手を回すその人物こそ、懲罰部隊のトルノヴァツ中尉だった。 「お…おはようございます」
