mixiユーザー(id:6276271)
日記一覧
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年11月19日21:31
ユピタルヌス歴３２２年。10の月、1４日早朝。 戦闘は収着した。 パンジールウルケー島の周囲に累々と横たわる軍艦の残骸。そこからなんとも嫌な臭いの黒い煙を濛々と噴き上げている。 気が付けば、あの妙に心に突き刺さる…いや、キンキンと耳障りな
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年11月12日17:06
ユピタルヌス歴３２２年。10の月、13日深夜。中央大陸北部パンジール地方一帯の全ての通信機に悲壮な叫び声が響き渡った。 「なんだ、この通信は！？」 苛立ちを隠さずにサラーフ・マスーラ司令が、ＨＱ（本部）付きのレーダー室を訪れた。 『うわあああ
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年11月07日23:04
動悸が操縦かんを伝って、方向がブレブレになる。だって…味方は来ないし、弾はもう無い。背中にはこの星最強の艦隊が牙を剥いて襲い掛かってきている。誰だってブルっちまうだろう？ その時、耳元に怒鳴り声がした。 《ノラ、落ち着け！ 奴等を阻塞気球
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年11月04日18:35
天地無用。 陰陽進退。 回転木馬。 離散習合。 …前後不覚。 キリモミ状態で、生きてるのか死んでるのかもよく分からない。 猛スピードで艦隊間を駆け抜けなければ、すんなり撃墜されてしまう。とは言え、真っ暗闇の中、見慣れぬ敵艦沿いに、すれすれ
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年10月24日08:02
殆ど真っ暗闇の中、管制官の手に持つ管制灯を頼りに離陸準備を行う。 はじめの1時間に簡単なレクチャーを受けて、操縦方法は習った。そもそも簡素なコクピットで、煩雑な操作は何もない。 ガマガエル達は「最新鋭だからスマートだ」なんて浮かれていたが
- ユピタルヌス戦記2話 マルマラ沖海戦ー��
- 2018年10月19日18:59
「なに？ 一部隊だけアンカラ島から逃げ戻った部隊が居るだと？」 パチンと顔を覆っていた扇子を閉じて、フィデル司令が振り向いた。 伝令兵は短く肯定の返事をする。 「ふむ。この部隊のデータを見れば、概ね卑賎民で構成された者達の様であるな……」
- ユピタルヌス戦記2話−マルマラ沖海戦��
- 2018年10月16日16:22
轟雷の音が腹にズンと響く。近くの高射砲が発射されたのだ。 考えてみれば空中戦艦とはいえ、質量保存の法則には逆らえない。重く武装すればするほど、いかに半重力物質で浮かぶ事が出来るとはいえスピードは鈍るのだ。 だから高射砲は空中戦艦にとって大
- ユピタルヌス戦記2話−マルマラ沖海戦��
- 2018年10月12日22:16
「ふうむ、良い質問だ。マーガレット少将」 御殿の如き調度品がドームを覆い尽くしている中では、彼の声が良く響く。 大聖堂の様だが、これでも帝国の会議室なのだ。 ピシッとしたスーツにネクタイを小粋に着こなす。蝟集する各将軍も似た様な格好である
- ユピタルヌス戦記２話−マルマラ沖海戦��
- 2018年10月11日02:01
妙に臭い。鼻をスンスン嗅ぐと直ぐに理由が分かった。 「ドブロク。お前……風呂に入ってないだろう？」 チョット何を言っているのか分からない顔をされた。もしかして……コイツ、一辺も風呂に入った事が無い！？ 「まあいい。実はオレも全然シャワー浴
- ユピタルヌス戦記2話−マルマラ沖海戦��
- 2018年10月06日19:33
意気揚々と還って来たノラ・シアンを待っていたのは鉄拳だった。 「てめえ、そんな短期に階級上がりやがって……オレの地位を狙ってやがるな、クソ野郎！！」 ガマガエルのベシ曹長から罵声を浴びて、いきなり殴られた。１：コイツは酔っぱらってるから言
- マルマラ海海戦
- 2018年09月23日21:42
「それでは、ここに集った諸君にだけ今作戦の全容を解説する。決して他言無用である事を忘れぬように！」 青白く会議室を照らすモニターを背に、フィデル参謀総長の声が響き渡る。フィデルの肩章には４本線に５つの星…つまり、大元帥を顕している。 その
- ユピタルヌス戦記1話−��
- 2018年09月21日21:37
「断る！」 ビールの入ったジョッキが、逞しいその男の掌内で割れた。 ビールの飛沫を浴びながら、それでもフィデル参謀は笑みを絶やさない。 近衛兵が色をなすが、扇子でそれを押し留める。自分の前に居るこの大男が一暴れしたら、返り討ちに遭うのが目
- ユピタルヌス戦記1話−��
- 2018年09月15日21:30
案の定、会議は紛糾した。実際、サラーフが聞いても荒唐無稽にしか思えない。 だが、フィデルの鶴の一声で会議は唐突に終了する事になる。 曰く、「では、誰かもっと確実に勝てて、しかもそ損害の少ない作戦があるのなら、今すぐ提示して欲しい！」 敵は
- ユピタルヌス戦記1話−��
- 2018年09月14日22:08
ノラ・シアン二等兵が殴られている頃、パンジールウルケーの州都の近くにて魚釣りをしている者がいた。 一瞬、不思議に思えるかもしれない。 何故ならその男が垂れている釣り竿には釣り針が無かったからだ。 だがそもそも、その池……というより、ユピタ
- ユピタルヌス戦記1話−��
- 2018年09月08日23:11
「汚ねえ格好だな」 そう言ってデカ伍長が渡してくれたのは、黒い軍服。それに国民服の片側の肩掛け。一般的なパンジール・ウルケーの服装だった。 「こ、これを着てもいいのかい？」 途端に殴られる。 目がチカチカした。 「よう、ノラ・シアン二等兵
- ユピタルヌス戦記1話−��
- 2018年09月05日22:55
母さんと詩人の罵り合いが激しくなったところで、新鮮な空気を吸うためにシアンは甲板へ出た。 もう陸地が見えた。パンジールは峡谷でもあり、島でもある。だからマルマラ海をもう越えて、そろそろ着陸するんだろう。 と、その時。 何か光るものが見えた
- ユピタルヌス戦記1話
- 2018年09月03日15:27
「そりゃあ、この星は悲惨さぁぁ。なんたって、もう何十年も昔から戦争が絶えないものなぁぁ〜」 ミシミシと船体が軋む中で、汚い風体のメガネ爺ぃが酒臭い息を吐いて何やら独り言をつぶやいているのに、シアンはちょっと興味を持った。 「爺さん、何をぶ
- てんぱ
- 2018年09月02日19:36
てんぱと聞いて何を思い浮かべるでしょう？ 天然パーマ？ 天然パラジウム？ 天からの電波？ …いいえ。転派です。まあ知ってない人は居ないとは思いますが、アタイは僧侶です。この度、色々事情がありまして転派…つまり別グループに移る運びとなりまし
- プレ『ダダ侍！』 改��
- 2018年06月16日22:20
秋田藩は元々常陸の佐竹家である。戦国の気風を残す当家だからこそ、この世に在っても「殿様」と呼ばず、未だに「御屋形様」と呼ぶ。 近代的な、秋田の久保田藩を形成した代表格に渋江内膳がいる。今期の筆頭家老職は疋田斎。怜悧で人の足元を見る癖がある
- 頑愚殿の後始末 �◆檻�
- 2018年06月02日16:14
帰蝶様や土田御前を見送っていると、エヘンと咳払いが一つ聞こえてきた。見れば京より参着した雅な御輿の上に、やんごとなき姫こと、あここの方様がご立腹していた。 「わらわをこれだけ閉じ込めておいて……全く、頑愚殿は酷い男でおじゃる！」 「は、
- 頑愚殿の後始末 �◆檻�
- 2018年05月18日00:52
それから、頑愚殿は本当に籠城を続けた。 6月13日の山崎の合戦が終わってからも城門が開くことなく、翌14日に起こった、堀久太郎秀政と明智左馬助秀満の大津・打ち出の浜合戦が終わっても籠城の構えを崩す事は無かった。 これには堀秀政も窮したという。
- 頑愚殿の後始末 � 檻�
- 2018年05月14日15:14
随時風呂から出てくる武将達に、下男が日野川で冷やした甜瓜（まくわうり）を切ったモノを振る舞っている。 風呂で火照った身体に瓜の甘味と冷たさが心地良い。 「ガハハ、佐久間殿は蒲生風呂は初めてか？」 湯帷子（ゆかたびら）を着替え終えた赤座隼人
- 頑愚殿の後始末 � 檻�
- 2018年05月06日18:20
打ち砕かれた柵や板塀、櫓や門を一度解体する。そうして使えそうなものはもう一度使い、そうで無いものは薪として火に打ちくべる事にする。 同じく廃材で作った掘っ立て小屋には、早くもモクモクと湯気が立ち昇っている。 「ガング……何をしておるのじゃ
- 頑愚殿の最後の戦い ��
- 2018年05月03日18:07
六月九日 朝から靄（もや）がかかっている。こういう日は奇襲してきやすいので、ようく目を凝らして警戒を強める様に指示をしていた。 「ち、父上…ご覧下され！」 モノ好きにも二の丸櫓で物見をしていた賦秀が、不意に叫んだ。 夏の躍動感溢れる風が靄
- 頑愚殿の戦 閑話〜とある草の者の独白−２
- 2018年04月24日00:46
馬廻り衆の若武者に悟られぬ様、密かに毒を盛ろうと見れば戦時食。昆布や熨斗アワビ、ゴボウと小女子の煮しめ物では直ぐにバレてしまう。なので、汁物へ一服盛る事にした。 毒の種類はマメハンミョウを潰した汁。即効性があるので、甲賀の忍びはよくこれを
- 頑愚殿の戦 閑話〜とある草の者の独白−１
- 2018年04月22日21:35
打ち捨てられた御貸し鎧なんてものは、そこら中に転がっている屍から引っぺがせば訳ない。 程度の良いものを選んで、折れていない槍を手に収めれば、それはもうどこから見ても明智軍の足軽である。 「ではそろそろ行くか、兄者」 「兄者ではなく“お館様
- 頑愚殿の最後の戦い ��−２
- 2018年04月12日20:11
「皆様方、戦は男のやる領分ですぞ。お手を煩わせることはありませぬ…さ、屋敷へお戻り下されませ」 「ガングの痴れ者！ 男がだらしないから我等が銃を手に担っておるのじゃないか」 グッと息を詰まらせる。理屈では戦に勝もあれば負けもある。だが、そ
- 頑愚殿の最後の戦い ��−１
- 2018年04月11日15:51
六月八日 各地に散っていた草の者達の一報によると、明智光秀は坂本から京都へ向かったらしい。朝廷の綸旨を得るためかもしれない。 だが悪い知らせも入った。佐和山城を奪取した丹波の武将・荒木氏綱が、近隣の山崎・小川等の陣を再編成し、こちらに向か
- 頑愚殿の最後の戦い ��
- 2018年04月07日22:10
二の丸へ向かい、小倉殿を見つけて事後の打ち合わせをする。 「良いな、いざという時は日野川を上って甲賀の多羅尾家を頼るのじゃ。きっと悪いようにはせぬ」 「蒲生様、それについては承知しましたが…今から織田家の女房衆にこの話をしては、きっと動揺
- 頑愚殿の最後の戦い ��
- 2018年04月02日19:25
その日の酒宴は結解十郎兵衛の話でもちきりだった。 「青鉄鱗二枚胴具足に置手拭兜の十郎は、まるで竜神の如く見えたぞ！」 白酒をカワラケで飲み干しつつ、ガハハと儀俄忠兵衛が笑った。当の結解十郎兵衛はというと、怒ったように顔を赤らめて酒を飲み干
