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日記一覧
- 『ダダ侍』��
- 2016年12月17日20:06
仁助が栗田家に入ったのが安永9年・14歳の時じゃった。 実は栗田家には嫡子が居った。栗田茂光というが中々に蒲柳の質で、寝込んでばかりの方だったそうだ。そもそも栗田家は家督の茂寛様も身体がお弱いのであるから、そういう家なんだろうかもしれん。若
- 『ダダ侍』��
- 2016年12月13日19:29
「存外、仁助はあかんたれじゃ……！」 拙者こと、平沢修理亮は思わず独り言を漏らした。今はもう苗字も幼名も違うが、幼き頃から仁助と呼び親しんできたので、今更『定之丞』とは呼び辛い。 どんよりと緞帳の下りたかの様な秋田の空模様を見上げ、また一
- 栗田定之丞に関する覚書
- 2016年11月13日19:17
今度の小説のネタとする為、わざわざ秋田まで行って古書を漁ってきました。 それもこれも栗田定之丞に関する資料集めの為です。知ってる人は知ってるけど、知らない人は全然知らない、そんな彼の人生を簡単にですが、一緒になぞってみましょう。 定之丞は
- 『地図男と７人の邪悪な花嫁』 一話サイガンの女��
- 2016年10月31日18:03
あた〜らしい あ〜さが来た き〜ぼ〜のあ〜さ〜だ♪ 近くに工事現場でもあるのか、それとも老人ホームか。ラジオ体操の曲でオレは目を覚ました。 ハッ！ き、昨日のアレはなんだったんだろうか？ 神様が出てきて二次元の嫁がナンとかカンとか…… い
- 『地図男と7人の邪悪な花嫁』―序章
- 2016年10月18日19:36
やあ、オレ臼井地図男。26歳。ニート…だった、正確に言えば2時間前まで。 母親はオトコ作って蒸発。まあ、ここまではありきたりだが父親は化学工場リストラされた後、「麻薬王にオレはなる！」とか言い出して地下で大規模な大麻栽培を始めた。 親父は確
- 『攻城のルキ』 終話
- 2016年10月18日13:41
「……で、ルキとヒナとやらは跡形も無く爆発四散してしまった…と申すか」 「さいでございます」 オカシイ。さっきからこの報告をしている男、何か様子が違う…と明智光秀は思った。 かつて村で見たこの少年はもっとオドオドしていて、ともすれば一番逃
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年10月14日12:15
〜ウチのご主人様は本当に優しい。 次郎丸はそう思う。牛がそんなこと思っちゃいけないのか、そんな事は無い、牛にだって意思はある。 いつも体を洗ってくれるから虫は付かないし、軟らかな草が生えている場所だって熟知している。寒い季節になると筵をか
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年10月04日14:36
「悪七、あと二回“曳く”ぞ！」 え、なんで？ とルキに言いかけて、思わず噴き出す。 幔幕の向こうからゴロゴロと大きなくす玉が転がり出てきたのだ。 「ナニ……コレ？」 「ナニって……栗山善助が中に入ってるんだよ」 確かによく見ると微動してい
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年09月09日06:02
寄せ法螺貝と打ち鐘が同時に鳴り響く。 寄せ貝は滝川家の陣中から、打ち鐘のジャンジャンは城方から。 そりゃそうか。一年以上閉じられた城門が突然ポッと空いたのだ。城方にしたら晴天の霹靂、攻め手にしたら絶好の好機である。 ボンヤリしていた滝川
- 『攻城のルキ』７話 ��
- 2016年09月08日03:57
10月15日。 嬉し恥ずかし朝帰り……という訳ではないが、朝方、陣に戻ると囃す奴もいれば嫌味言うのも覚悟していた。 が、「いよっ、オトコになって戻ってきたね〜、ヒューヒューだよ〜」というルキの嫌味にはカチンときた。ヤロウ、『オレ』が女だって知
- 「死」の仏教的概念��
- 2016年09月06日20:40
＜テーゼ＞ 死とは何ぞや？ ＜４＞ 本っ当にうっかりすると、自分の好きな比較宗教論になってしまうきらいはあるので、そこだけは本当に気をつけなければ！ だもんで、ハリカルナッソスの儀式の話とか、根の国木の国に見られる扶桑神話などは今回全部関
- 「死」の仏教的概念��
- 2016年09月06日03:58
よく考えたら、「仏教的概念」とかタイトル打ってるのに一回も仏教の話してないや。……まあ、いいか！ さても前回の輪廻転生の話の補足である。 輪廻転生でハッキリした様に、生前の行い次第で「良いトコロ」行けるか「懲罰されるトコロ」か行くのが振り
- 『攻城のルキ』７話 ��
- 2016年09月06日00:38
フバッと起きたら、場所が分からなかった。 暗闇に目を慣らせつつ辺りを見渡すと、小屋の様だ。破れた簀（すのこ）の隙間から月の明かりがもれている。 「やあ、起きたかえ？」 後ろで凛と張った声がした。見返すと年の頃は18の随分背の高い女だった。ソ
- 「死」の仏教的概念��
- 2016年09月02日20:17
＜テーゼ＞ 死とは何ぞや？ ＜２＞ 意外と思われるかもしれないが、天国の概念が一番具体的なのはイスラムである。常に酔ってもヘベレケにならない神の酒（※ミルク説もあり）が河として流れ、甘美な果物が楽園に咲き誇り、何度ヤッテも永遠の処女を
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年08月27日16:08
各陣場の周りには出店がたくさん並んでいる。 その中でも白湯屋がなんと言っても一番人気か。長期の戦ともなれば慣れぬ戦場飯に腹を下す者も多い。そこで水に当たらぬよう、沸かせたお湯を売るのだ。長引く戦では薪が貴重になる。だからたかが白湯ではある
- 「死」の仏教的概念��
- 2016年08月26日21:37
＜テーゼ＞ 「死」とは何ぞや？ 全てが無に帰すのか？＜序文＞ おそらく、全ての宗教のエッセンスを突き詰めるとこのネタになろうかと思う（例外：日本神道…これに付いては余裕があれば書こうと思う）。 さて死ぬという事は悲しい事である。恐ろしい事で
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年08月26日20:09
陣場は「盤古練（マンゴネル）」の射程20町の位置と聞いたので、有岡城西部に在る上臈塚砦の手前にある滝川勢の陣の後方へと移動したが、そこには影も形も無い。 「ルキ姐さん、悪七兄さん、お待ちしてましたニャー！」 辺りをきょろきょろする『オレ』達
- 『攻城のルキ』7話 ��
- 2016年08月10日17:02
「『女村』の徴用に応じ、在郷の者、悪七以下総勢６名まかりこした！ 明智日向守に参着の旨を取次ぎ願いたい！」 ルキが朗々と高い声を出し、明智日向守の陣前で唱え上げる。別に本人に聞こえるように大きな声を張り上げてるのではない。衆目の注目を集め
- 『攻城のルキ』７話 ��
- 2016年07月19日17:48
伊丹の農民、善郎さん（４１）はそのときの様子をこう語る。 「ええ、そりゃあ、信じられねえ速さで牛と馬の二頭立ての馬車が通り過ぎて行ったダヨ」 「ああそう…走りながら口にムスビ飯頬張って、『遅刻遅刻〜！』って喚いてたダヨ」 「そんで後ろをま
- 『攻城のルキ』７話 ��
- 2016年07月06日20:56
浦から歩き出してオカシナ事に気づいた。 例の三人侍が何か重そうなものを背負っているのだ。初めは鎧櫃かなと思ったが、良く見たら彼等の鎧櫃は馬車に乗っかっていた。 一番穏やかそうな栗山善助殿に声をかけて訊いてみる。 「ん？…ああ、コレか。なん
- 『攻城のルキ』７話 ��
- 2016年06月23日23:40
須磨の浦は大きな船は乗り入れることが出来ない。だから信乃達は明石に回ってもらったらしいが、それでも『オレ』達よりかは早く着いていた様だった。 浦で待っている顔ぶれが小船の中からも見えて、たかだか数日振りなのにうっすら涙がにじんでしまった。
- 『攻城のルキ』６話 ��
- 2016年06月15日04:40
「デキた！」 グギギギ…と不器用に笑う声が熱のこもったタタラ場に響き渡った。 手にしたのは硬くしなやか、展性の高い夢の鉄……アソウ。 南蛮鉄とも言う。海外からも入っては来るが、コレを鉄餅から作ろうとするとかなりの技術を要する。炭素の量が決
- 『攻城のルキ』６話 ��
- 2016年06月09日18:53
二度ある事は三度ある。しかし彼女ほど、強運に見舞われていると、それはもしかしたら不運なのかもしれない。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ナントカと言う、昔の天
- 『攻城のルキ』６話 ��
- 2016年06月01日02:55
堺の朝は早い。 往来を人が行き来しており、賑やかしい。色々な国の南蛮人も居て、見ていて飽きない。 尤も忙しそうにしているのが半分、残りはグダグダと道の端っこや軒下で寝転がっている。フロイスが記したように「勉学熱心な半面、この国の人間はとて
- 『攻城のルキ』５話 ��
- 2016年05月27日15:49
波をスイスイ掻き分け、驚くほど早く村上家の１２艘の小早船がこっちへと近づいてくる。が、不思議なほど鉄砲、打ち矢が無い。一気に乗り込んで制圧する気だ。 熊手のような物や鎖鎌みたいな物をブリブリ振り回している。きっとアレをひっかけて船を寄せる
- 『攻城のルキ』５話 �А＿�稿
- 2016年05月27日15:48
まだ体調が万全ではないので、船から下りることも叶わず、またルキの姿も全然見る事もできなかったので忠告する事もあたわず、まんじりともせずにその日は終わってしまった。 ルキに会えないのはもしや、アノ赤錆男が軟禁したからでは？ とも思った。昼
- 『攻城のルキ』５話 ��
- 2016年05月25日15:17
まだ体調が万全ではないので、船から下りることも叶わず、またルキの姿も全然見る事もできなかったので忠告する事もあたわず、まんじりともせずにその日は終わってしまった。 ルキに会えないのはもしや、アノ赤錆男が軟禁したからでは？ とも思った。昼間
- 『攻城のルキ』５話 ��
- 2016年05月18日09:09
このままこのオヤジを放っておいたらルキに何をしでかすか分からない、だから止めないと！ そう思って、進む先に回ってとおせんぼうをした。 「そ、そんな…海部から出さないなんて言うけど、コッチだって早く行かなければ行けない都合があるんだ」 「
- 『攻城のルキ』５話 ��
- 2016年05月16日16:29
次の日、起きたら晴れだった。 昨日の嵐など夢のようだ。 ついでに言うと、海部だった。 風はやや強いが、津々浦々が畝って見える稜線は青葉と紅葉が混じって荘厳だ。 外海に繋がっている様には見えないくらい、波も落ち着いている。 そして至る所から
- 『攻城のルキ』5話 ��
- 2016年05月09日14:18
ルキの誘いを軽く交わしながら、ギュッと赤錆男が顔をルキに詰める。 「そんな事より姫ももうお年頃。兄上を喜ばすためにも“輿入れ”なども考えておきなされ」 死肉にたかる蛆虫を見つけたときのような凄い顔をして、ルキが首を括る真似をした。 「あ〜
