できることができなくなる背表紙も読めなくなる食べなくなるもできなくなる道も渡れなくなる布団まで戻れなくなる日記が開けなくなる買い物ができなくなる爪を切る子の爪も切らせてくれるものだけ切る
それは困るけれどこれも困る泣きながら眠る細くても割れやすくても千切れやすくても手を速めれば同じこと足の指は開いている全力で数分早い世界わずかだけど蜜のような
鬱蒼とした朝の公園のブランコで私の中の何かをあやしている2分違うと背景が変わる世界に生きている場所ではなく時間の上でキーを打つ時間が流れる中今日の仕掛けが完成する撚られた糸よりただ合わさった合糸が好きだクリアですぐにほつれる糸の艶じっと見つ
泣いている理由よりこのふわっとした感じを姿形に変わり苦しめる速い風に雲がたゆんで月が光る目を合わせても見えず言葉を話せても通じず耳息をするごとに喉爪を切ってもまだ足りない二分割夜中の前夜の前
時間を計りながら指の次の動き糸の撚り靴の中の指を開いて見ずに見て呼吸が止まっていることをもすこし続けて眠れないわけではないむしろ唐突にぶつかったように寝ているもう人の声や目や怒りを窺っている物音の連続もっと毅然として深く座って息をしていない