今日は古典より、秋の日に心に響く歌を紹介します。
「初雁(はつかり)は
恋しき人の
つらなれや
旅の空飛ぶ
声のかなしき」
(源氏物語)
初雁は都に残してきた恋しい人の仲間だろうか。
旅の空を飛んでいく声が悲しく聞こえてます。
「仏は常にいませども
うつつならぬぞ
あはれなる
人の音せぬ暁(あかつき)に
ほのかに夢に見えたまふ」
(平安末期の歌謡)
仏は常にいらっしゃるのだけれど、まのあたりに拝することができないので、一層しみじみと尊く思われる。
しかし、人々が寝静まって物音一つしない明け方に、仏はかすかに夢の中に姿を見せなさるのだ。
「寄する波
うちも寄すなむ
わが恋ふる
人忘れ貝
降りて拾はむ」
(土佐日記)
うち寄せる波よ。
あの忘れ貝をうち寄せておくれ。
そうしたら私が恋慕う人を忘れるというその忘れ貝を、船から降りて拾おう。
肌寒い秋の日に
心に染みたので
紹介しました。
心の癒しになればと
合掌
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