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2013年11月25日12:33

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【バレエ】モスクワ・クラシック「くるみ割り人形」(21日)

んー、この仕事は来週にまわせるな。
こっちは先輩に押し付けて。
んでもってこいつは...見なかったことにしよう。

よし、夜は町田だ!(笑)

*     *     *

ここの「くるみ」は、
ワイノーネン版ベースの芸監改訂版ですが、
いろいろ違いすぎて、どこから記して良いのやら。

マーフィー版やベジャール版などのように、
同じなのはタイトルと曲だけだろ!?
というほど違うわけではないのですが、
ワイノーネン版とは骨格標本程度にしか共通点がない。

雰囲気はスウェーデン・バレエ風なのですが、
あそこまで演劇(?)性はなく、
踊り重視でチープな舞台装置や衣装から漂うのは、
あくまでも「ソ連」テイスト。
あの大きな国には、地酒や地ビールのように、
地元バレエ団のオリジナル改訂版が、
きっと山ほどあるのだろうな。

プロローグの音楽とともに、
雪の夜道をシュタルバウム家へと向かうのは大人たち。
それもただ歩くのではなく、がんがん踊る。(笑)
あれ? 子供は? と思っていると、
次に登場するのはドロッセルマイヤーと人形2体で、
これまた踊る踊る。
最後にようやく子供たちが姿を見せますが、4人しかいない。
どうやら出迎えのマーシャたち、ということらしい。

場面が屋敷の中になっても、
子供はシュタルバウム家の4人だけ。
数字の打ち間違いではなく、マーシャ、フリッツ、ルイーザとハンス。
フリッツはお兄さん、ルイーザはお姉さんで、
ハンスはルイーザの婚約者、という設定。
でもプログラムにはちびたちの写っている写真もあるので、
本国では子役も登場するらしい。

プレゼントに続き人形劇が始まりますが、
ストーリーがやはり変わっていて、
王様がネズミをたくさん殺してしまったため、
怒ったネズミの女王が、呪いで王女を醜い姿に変えてしまう。
そこへ颯爽と王子が登場、王女を元の姿に戻しますが、
呪いは王子に降りかかり、彼はくるみ割り人形になってしまう。

人形劇といいつつも、
演じるのはマーシャの両親とドロッセルマイヤーで、
これまたかぶりものを着けてがんがん踊る。
しかもこの時の王子はドロッセルマイヤーだからややこしい。
ちなみに王女の(王子も)かぶりものは前後に顔があり、
「呪いで醜い姿にされてしまいました〜」
の場面では、くるりとうしろを向く。(笑)

ピエロ人形や黒人人形は登場せず、
代わりに女の子とくまの人形。
2体は昔のクリパの人形で、
冒頭ドロッセルマイヤーが連れてきた2体が、
新しい人形ということらしい。

くま人形には、
勝手に「ぼくはくま」のようなデザインを期待していたら、
ぜんぜんかわいくなかった。(怒)

夜の場面では、現れたドロッセルマイヤーが
くるりと背中を向けると、そこには梟時計が。
人形の国でも追撃してきたネズミの女王から2人を守ったりと、
とにかくドロッセルマイヤー大活躍です。(笑)

クリスマスツリーは巨大化せず、その場面の曲で、
ネズミたちがピラミッド状に集まり(手袋子ネズミも駆使)、
最後に後ろからネズミの女王が御輿担ぎされて登場。

プログラムの「あらすじ」によると、
その中にはネズミの王子もいたようで、
マーシャは結婚させられそうになる、とのこと。
気づかなかったなあ。(笑)

兵隊人形は4体しか登場せず、しかも女性。
ただし写真によると本国では男性の役らしい。
頭数の不足分は新旧の人形たちが補い、
フォークやハサミ、鍵を武器に応戦。

ネズミの女王さまは、全身タイツでネズミの顔を頭に載せ、
さらにこうもりの羽のようなひらひらを腕に付けている。
うーん、コンセプトがわからん。

仮面を付けたくるみ割り人形が王子ネズミを倒し、
マーシャが靴を女王に投げつけて戦いは終わり、
雪の場へと続きますが、雪の女王も王様も登場せず、
群舞+女性ソリスト2人。
この時の衣装はロマンチック・チュチュで、
長いスカートがふわふわ舞う様子は美しい。

2幕は定番のディベルティスマンだけど、
トレパックが男性2人と女性1人のトロワだったり、
フランスでは梯子を道具に使うなど、
見覚えのある振付はグランパくらいという目新しい演出。
良いところもあれば、なんだかなー、みたいな玉石混交。

16日神奈川以後の日程は、
17小平、18移動、19岩手でマチソワ、
20宮城、そして21移動・夜町田という、
相変わらずの光藍社鬼スケジュール。

さすがに群舞はへばっているのか足音が目立ち、
にもかかわらず全般に音楽のテンポが速いので、
優雅さに欠ける場面が多かったけれど、
あたふた感がないのはさすが。
(適当に動きをはしょってはいた)

ソリスト役は概ね好調で、
会場からたくさんの拍手とブラボー。
ネズミの女王はロシアの姫キーロワさん。
彼女の踊りには味がある。

吉田むつきさんは群舞と東洋で、
特に2幕では東洋のあと着替えて花ワル、
終盤また着替えて東洋に。

主役には別の人を期待していたのだけれど同じペア。
最初は凹んだものの、思いのほか良くて、
結果的に比較することができて興味深かった。

ベレジナさんは、
パドブレの足首もしなるし、足音しないし、
なにより前回雑だった端々の処理が丁寧になっている。
回転やジャンプの勢いはもともとある人だから、
そうなるとそこそこ魅せてくれて、さすが主役、と言える。
前回は来日直後で、まだ調子が上がらなかったのかも。

ただ、どちらかと言うと教科書的な動きなため、
よりしなやかで魅力的な踊りのキーロワさんの方が、
拍手は多かった。

せっかく印象を戻したベレジナさんなのに、
残念だったのがラストの演技。
1幕のマーシャは、大人が子役やってます感はあったものの、
それなりに可愛い感じは出せていたのに、
なぜか肝心のラストが...。

最後の場面は、センターにマーシャ、
やや下手寄りにドロッセルマイヤーがいて、
下手から彼の甥(王子)が入ってくるのだが、
最初はドロッセルマイヤーがマントを広げて甥の姿を隠し、
じゃーん! と彼をマーシャに紹介する。

観る側としては、マーシャの驚きから喜びへと変わる表情を、
当然ながら予想するわけですが、
顔をうつむき気味して、淡々と彼に寄り添うだけ。
画竜点睛を欠いた舞台でした。

王子のホロシロフさんは、
まあ、主役なら、このくらいはできて当たり前かな。

最後は辛口になってしまったけれど、
珍しいもの好きとしては、行った甲斐のある、
面白い公演でした。(^^)
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