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前回のライナーノーツ担当盤は、ダイアナ・ロスが抜けた後のシュープリームスだった。主役を失い、一歩間違えたら消滅するような立場に立たされたシュープリームスだったが、見事に新しい魅力を打ち出すことができた。今回のヴァンデラスも、苦しい状況での再スタートを強いられていた。相手は「社会状況」だった。60年代後半を迎え人種問題が過熱し「ブラック・パワー」が叫ばれ、黒人はソウルフルでファンキーな音楽を好むようになった。<モータウン>が人種の壁を超えて流通させた“ポップ・ソウル”も変化せざるを得なくなった。溌溂としたダンスミュージックが基本にあったヴァンデラスも、よりソウルフルな方向転換に取り組むことになり本盤の発表に至った。
“再出発”感を出すためか、マーサ&ザ・ヴァンデラスをマーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスと名前を変えた。内容的には、よりグルーヴ感の濃いサウンドに乗った歌唱を聴かせており、ガールズグループからレディ・ソウル集団へと姿を変えたと言える。そもそもマーサの歌声はゴスペルライクで強烈なため、黒人好みの音楽にチェンジできる素養はあった。ただし、当時のマーサは薬物中毒の影響による入院明けの状態で、悲痛にも聴こえる歌唱を感じる曲もある。メンバーは実妹のロイズ・リーヴス(クワイエット・エレガンスの創立メンバー)と元ヴェルヴェレッツのサンドラ・ティリー(しかし、本盤はジャケット写真だけで実際には辞める前のロザリンド・アシュフォードが歌っている)である。アンダンテスとシリータ・ライトもフォローしている。
R&Bチャート44位の(1)「Taking My Love (And Leaving Me)」はポール・ライザーのダイナミックなアレンジや突き進むバンドサウンドに負けじとマーサが歌い切る。アシュフォード&シンプソン作の(4)「I'm A Winner」はゴスペル的な迫力を感じる。(6)「Soul Appeal」は特にグルーヴィだ。(7)「Loneliness Is A Lonely Feelin'」にはサザン・ソウル的風合いも。
(8)「I Love The Man」はモータウン・サウンド的だが力感がひと味違う。(12)「I Hope That You Have Better Luck Than I Did」はホーランド=ドジャー=ホーランド作。サウンドは心地良くスウィングしている。マーサのヴォーカルも良い感じに脱力気味。(13)「I Gotta Let You Go」はボーナストラックの70年シングル盤。ノーマン・ホイットフィールドの作とプロデュース。昔ながらの爽快な歌声を聴かせる。
尚、今回は本盤に加え3枚の既発CDを加えたデラックス・エディションも発売される。
Taking My Love (And Leaving Me)
I'm A Winner
Soul Appeal
Loneliness Is A Lonely Feelin'
I Love The Man
I Hope That You Have Better Luck Than I Did
I Gotta Let You Go
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