mixiユーザー(id:68785028)

2026年04月04日07:13

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「本を読めなくなった人たち」(稲田豊史,中公新書)から考えたこと

「本を読めなくなった人たち」ーコスパとテキストメディアをめぐる現在形ー(稲田豊史,中公新書)を読んでいる。本文の紹介はしないが、プロローグー本を読まない人は世界をどう見ているかーの部分だけでも衝撃的だったので引用する。

引用開始>
「文章」というものの経済的価値が、劇的に下がりつつある。こんな書き出しでプロローグは始まる。
○長い文章が読めない人たち
まだ活字本というメディアや書き手、ベストセラーも生まれている。刊行点数も激減してはいない、市場規模が最盛期の半分に縮退し。初版部数が減少の一途を辿ってはいるが、紙や電子のメディアはまだ機能している、破綻はしていない・・・・"今のところは"

16歳以上の日本人の6割以上は、1ヶ月に一冊も活字の本を読まない、この傾向は60年以上続いており、その理由について説得力の大きな説明が「読み手側の長文読解能力が劇的に落ちている」という説。
今の大学生は、XやLINEの短め文章中心の生活なので、数百字程度の文章を読むのも億劫がり、黙読も苦手。短いまとめ記事を読むより、10分のyoutube動画を2倍速で見る方が、情報摂取効率が高いと感じている。
長めの文章は、スマホで写真を撮って、chatGptに画像を投げれば要約を返してくれるので、別に長い本とかを読む必要はないです。
必要な情報は本以外からでも取れるので、読書の必要を感じません。
文章より、しゃべった方が早いし熱意が伝わる。ビジネスにおいてもタイパとコスパでテキストメディアより動画のほうが効率的だと主張する。
>引用おわり

第三者の編集した動画や、chatgptが要約したモノからこぼれ落ちるモノも多い。テキストメディアも、編著者が選んだ素材だが、読む側が考えて咀嚼する余地が動画より音声だけより大きいと思う(その咀嚼作業が面倒という事でもあるか?)
図書館利用者だけでなく、テキストメディア(それも割と長文指向の)中心のMIXIなどが高年齢化している理由はそこか。

「本を読めなくなった人たち」(稲田豊史,中公新書)のプロローグ部分の一節
再び引用>
「必要な情報は本以外からでも取れるので、読書の必要性を感じません」と云った16歳だが、あくまで主観ではあるが、筆写が1時間半にわたって会話したこの16歳が実に聡明な若者だと感じた事実は、ぜひ強調しておきたい。少なくとも、別グループで話を聞いた「ライトノベルやライト文芸をよく買って読む」20歳の大学生より、会話の内容は知的だった。
>引用おわり

考える力は当然のその人ごとのグラデーションがあるから、当然といえば当然で、この16歳の人は、インターネットからの情報を元に十分「自分の頭で考えている」から知的で、対象に持ち出された20歳大学生はライトノベルを読んでも消費するだけの読書だから、という事だと思う(論証ではなく、例示に過ぎない)。
ただ、書店や図書館の膨大な本の中から「何を選ぶ」という自由度と、ネット検索googleなどで「検索ワードの上位に位置する」記事を「読まされている」という受動的な部分の差が、やがて露わになるだろうと思う。
書籍の世界の「入り口」としてはライトノベルも悪くないと思う。でも、入り口に留まっていないで、もっと奥に行き給えとも思う。

ライトノベル:「なろう」や「カクヨム」の特に異世界ザマァ系は、「勇者一行」からの追放や、「剣聖ジョブの一家で、それを授からなかった息子」を追放する。その追放した側が、後から散々な目に遭う「ざまぁ見ろ」という物語である。しかし、そもそも「勇者」や「剣聖」は、力や技の冴えだけではなく、「思慮深さ」「賢明さ」「公正さ」という徳性を含んだものと思う。この手の物語では、単なる物語における装置であるだけで「愚かさ」が許される。

今度はyoutubeでよくある動画。老母や老父を他人扱いして、でもそこからの援助はそのままと、都合の良すぎる若夫婦の行動を、怒りで覆す老母・老父の物語。高齢者の尊厳を取り戻しましょう、で結ぶ動画も、物語の装置として高齢者を見る若い夫婦と、この援助への感謝を忘れる若夫婦に数年じっと耐えて、限界を越えたからといきなり見放す高齢者側 ← 普段から軌道修正の努力を怠っているのに、閾値を外れたとすぐに切り離す。この物語の構造をオカシイと見ないで、支持する層があるから、この手の動画が雨後の竹の子のようにはびこる。この物語を是として見る者=高齢者側、が多いから成り立つ。物語の成立条件への厳しい目利きが失われているという点で、ライトノベルの場合と接続している。
問題は「本か、動画からか」ではなく、「物語や情報をどこまで自分の頭で咀嚼するか」という点にあるのだと思う。
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