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2024年08月17日13:46

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「キングダム 大将軍の帰還」感想

 これは、春秋戦国時代の中国を舞台にした原泰久原作の漫画「キングダム」の実写映画版第4弾。
 主人公・信役の山崎賢人を始め、主要キャストは勿論続投で、本作では、物語のキーとなる謎多き将軍・摎役で新木優子が新たに出演。監督は、シリーズ全作を手掛けている佐藤信介。

 秦が趙を迎え撃つ馬陽の序盤の戦いで、敵将・馮忌を討った信ら飛信隊の宿営地に、趙国の総大将・龐煖が突如として現れる。自らを武神と称する龐煖の強さに圧倒され、更に、趙軍の襲撃もあって宿営地が混乱する中、重傷を負った信を逃す為、飛信隊は決死の脱出に挑む。
 一方、戦局を見守っていた王騎は、龐煖の背後に趙の企みと、もうひとりの将の気配を感じていた。王騎は軍を再編成すると、後退する趙軍に対し、武勇に優れる蒙武将軍を差し向けた――だが、これは趙軍の罠だった。敵に取り囲まれた蒙武の隊を救出すべく、王騎将軍自ら前線に赴くのだが……

 本作は、映画「キングダム」シリーズでも異色の内容となる――なにしろ、主役である信は冒頭の龐煖との戦い以降、活躍が見られず、吉沢亮、橋本環奈、長澤まさみと言う第一作からの主要キャストもほぼ会話するだけで、動きがない。そんな映画を支配するのは、異様な程の存在感を示す、大沢たかお演じる王騎将軍なのだ。
 この第4作は、正に、この王騎将軍の為の映画であり、過去のエピソードも含め、その物語を完結させるために作られていると言っていい。
 原作もそうなのだが、王騎将軍と言う人物、歴史書には殆ど登場しない人物で、原作の原泰久自身、だからこそ自在に作り込めたキャラクターなのだ、と言う……その初登場以来、敵か味方かも判然としない、ただ器の大きさだけを感じさせる人物が、やがて、作者の思惑さえ超えて物語を支配して行く事になる、と言うのは創作の神秘とも言えるのではないだろうか?
 それは、この映画版にも言え、演じる大沢たかおの、行き過ぎとさえ言える役作りと怪演が、映画を支配しているのだ。
 そんな映画は、序盤の飛信隊の逃走劇こそもたつくが、王騎将軍がスクリーンの中心になり、采配を揮う様が示されるようになると、ぐっと面白さを増す。
 趙の軍師・李牧との知略戦、そして、まるで怪獣映画のような王騎将軍と龐煖の一騎打ち、そして、力業を見せる後退戦と、中盤以降は、ほとんど大沢たかおのワンマンショーと化しており、主人公の影が薄いのだけど、それでも面白いのだから仕方ない。

 少年の信が、王騎将軍に憧れる所から始まった物語は、その王騎将軍の死によって、一区切りする――現実的には、映画版はこれで終了だろう。
 現在、72巻が刊行されている原作のうち、まだ16巻ほどを映画化したに過ぎないが、俳優の年齢などの諸事情からも、締めくくるにはここしかないだろう、と思う。
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