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2024年05月23日01:02
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読了２冊 ／ 河崎秋子 (河��)
｢颶風の王｣以来惹かれている作家､河崎秋子さん。
最新作｢ともぐい｣が読みたくて
図書館に予約を入れたら113人待ち、とのことで
届くまで、少し前に話題になった作品も読んでおこうと
この２冊を手に取った。
｢介護者D｣
少し読んだら… 既読感？
いや、既視感？
これドラマになった？ 私、観た？
チェックしてみたが､ドラマ化はされてなかった。
どうも、脳内で、
現在NHKで放映中の｢燕は戻ってこない｣と
混ざり合ってしまったらしい。
<読書24>
そう、読み始めてすぐ、
主人公の｢琴美｣が女優｢石橋静河｣さんになって私の脳内を闊歩し、
その静河さん、
｢燕は〜｣の主人公｢大石理紀｣のイメージそのものだ！
と、ドラマを観つつ常々思っていたのだ。
で、背景に北海道があるのも相似。
さて、｢介護者D｣。
琴美の父は札幌で教師を経て塾を経営していたが脳卒中で倒れ、
母は既に亡くなっていたため、琴美が東京から実家に戻る事となったのだ。
そして始まった､頑固で｢ええかっこしい｣な父との暮らし。
そんな日々…
鬱屈を解消してくれるのが “推し”のアイドル｢ゆな｣の存在だった。
読み進むとわかるタイトルの意味。
父は塾教師時代､密かに生徒をABCD…とランク付けして見ていた。
それは娘への評価も同様で、出来の良い妹はA､琴美はD。
父の介護、妹や周囲の人たちとの摩擦と苛立ち、閉塞的な環境の中で
それでも､推し活で心にエネルギーを補充しながら。
｢私は介護者としてもDランク？｣と自問しつつ…
ともすると心が日常に溺れてしまいそうな時、
“推し”の存在のありがたさは身に沁みて良くわかる。
どこにも居そうな日本中の｢琴美｣たちにエールを贈りたくなった。
いずれドラマ化されるんじゃないかな？
しかし、琴美が石橋さんじゃなかったらイヤだなぁ〜
｢絞め殺しの樹｣
｢介護者D｣は、現代の女性の物語の日常で
さほど感情に起伏なく淡々と読んだが、
こちらは！！
＜第一部＞
舞台は昭和の初期の北海道､根室。
ミサエは､生れてすぐ母を亡くし祖母に育てられるも､
祖母も４歳で亡くし､それから新潟の遠縁に引取られ､
10歳になると､
かつて祖母が世話になっていたという根室の開拓農家｢吉岡｣家に引取られた。
ここから、彼女の凄絶な人生が始まった。
吉岡の主人夫婦の｢人でなし｣具合たるや､並みの鬼ババ､鬼ジジイではない。
正に鬼畜！
その子供たちも見事に小鬼に育って…
そんな中､寺の住職と置き薬屋の｢小山田｣はなんとか力になろうとしてくれ
15歳で女郎屋に売られそうになったところを間一髪！
小山田に助けられ､札幌の薬問屋で働けることになり、
その後、看護婦の資格を得､
根室で営農を始めた小山田に乞われ、保健婦の資格も取って
札幌に出てきてから９年、穏やかな日々を捨て
根室に帰郷することになった。
再びミサエの苛酷な日々が始まる。
吉岡家に強引に進められて結婚した｢木田浩司｣は
暮らしてみると酷薄な男だった。
それでも娘｢道子｣を得たが､仕事と家事に忙殺される中
11歳の道子の心の異変に気付かず､彼女の自死を招くことに。
そして離婚。
離婚直後に生まれた雄介は、男児がどうしても欲しい吉岡家へ
養子としてもらわれて行った。
そして＜第二部＞
物語は主人公を少年｢雄介｣に移して進む。
実の両親については何も知らされぬまま､
家を継ぐため養子にしてやった､と恩着せがましく言われ育った彼だが
それでもそれなりに成長し、北大に合格。
様々な体験から自身の将来を見据え
実母の人生に触れ、
結果的に実姉の仇を討つことを目指し、
養母を救って、人生の次の一歩を踏み出す。
吉岡家､小山田家､木田家の人間たち…
反吐が出るほど人間性が卑しく下劣なヤツら。
異常としか思えない。
よくも､こんなサイッテー！な人間を描いたものだと
あきれつつ感心すらしてしまう。
そんな連中に翻弄されながら生き抜いたミサエ、
凄い！！
川��さんは、凄絶な物語を､なんら激することなく
あえて淡々と書く。
その静けさが､秘められた凄絶さをよりクッキリと読者の心に映し出す。
北海道の過酷な自然はそこに住む人間の､心も身体も夢も人生も
削ぎ取り､崩して壊していく。
それでも人は生きて行かねばならない。
それを、河崎さんは
様々な状況､切り口で､読者に伝えてくる。
決して､飾られた言葉で綴られた美しい文章でも､心揺るがす語彙が躍る文章でも
ない、地味な文章なのだけれど、読み始めたら読み止められず、
最近では珍しく､２冊､イッキ！に読了してしまった。
次は｢肉弾｣｢ともぐい｣… と川崎さんの世界に没入しよう。
<読書24>
最新作｢ともぐい｣が読みたくて
図書館に予約を入れたら113人待ち、とのことで
届くまで、少し前に話題になった作品も読んでおこうと
この２冊を手に取った。
｢介護者D｣
少し読んだら… 既読感？
いや、既視感？
これドラマになった？ 私、観た？
チェックしてみたが､ドラマ化はされてなかった。
どうも、脳内で、
現在NHKで放映中の｢燕は戻ってこない｣と
混ざり合ってしまったらしい。
<読書24>
そう、読み始めてすぐ、
主人公の｢琴美｣が女優｢石橋静河｣さんになって私の脳内を闊歩し、
その静河さん、
｢燕は〜｣の主人公｢大石理紀｣のイメージそのものだ！
と、ドラマを観つつ常々思っていたのだ。
で、背景に北海道があるのも相似。
さて、｢介護者D｣。
琴美の父は札幌で教師を経て塾を経営していたが脳卒中で倒れ、
母は既に亡くなっていたため、琴美が東京から実家に戻る事となったのだ。
そして始まった､頑固で｢ええかっこしい｣な父との暮らし。
そんな日々…
鬱屈を解消してくれるのが “推し”のアイドル｢ゆな｣の存在だった。
読み進むとわかるタイトルの意味。
父は塾教師時代､密かに生徒をABCD…とランク付けして見ていた。
それは娘への評価も同様で、出来の良い妹はA､琴美はD。
父の介護、妹や周囲の人たちとの摩擦と苛立ち、閉塞的な環境の中で
それでも､推し活で心にエネルギーを補充しながら。
｢私は介護者としてもDランク？｣と自問しつつ…
ともすると心が日常に溺れてしまいそうな時、
“推し”の存在のありがたさは身に沁みて良くわかる。
どこにも居そうな日本中の｢琴美｣たちにエールを贈りたくなった。
いずれドラマ化されるんじゃないかな？
しかし、琴美が石橋さんじゃなかったらイヤだなぁ〜
｢絞め殺しの樹｣
｢介護者D｣は、現代の女性の物語の日常で
さほど感情に起伏なく淡々と読んだが、
こちらは！！
＜第一部＞
舞台は昭和の初期の北海道､根室。
ミサエは､生れてすぐ母を亡くし祖母に育てられるも､
祖母も４歳で亡くし､それから新潟の遠縁に引取られ､
10歳になると､
かつて祖母が世話になっていたという根室の開拓農家｢吉岡｣家に引取られた。
ここから、彼女の凄絶な人生が始まった。
吉岡の主人夫婦の｢人でなし｣具合たるや､並みの鬼ババ､鬼ジジイではない。
正に鬼畜！
その子供たちも見事に小鬼に育って…
そんな中､寺の住職と置き薬屋の｢小山田｣はなんとか力になろうとしてくれ
15歳で女郎屋に売られそうになったところを間一髪！
小山田に助けられ､札幌の薬問屋で働けることになり、
その後、看護婦の資格を得､
根室で営農を始めた小山田に乞われ、保健婦の資格も取って
札幌に出てきてから９年、穏やかな日々を捨て
根室に帰郷することになった。
再びミサエの苛酷な日々が始まる。
吉岡家に強引に進められて結婚した｢木田浩司｣は
暮らしてみると酷薄な男だった。
それでも娘｢道子｣を得たが､仕事と家事に忙殺される中
11歳の道子の心の異変に気付かず､彼女の自死を招くことに。
そして離婚。
離婚直後に生まれた雄介は、男児がどうしても欲しい吉岡家へ
養子としてもらわれて行った。
そして＜第二部＞
物語は主人公を少年｢雄介｣に移して進む。
実の両親については何も知らされぬまま､
家を継ぐため養子にしてやった､と恩着せがましく言われ育った彼だが
それでもそれなりに成長し、北大に合格。
様々な体験から自身の将来を見据え
実母の人生に触れ、
結果的に実姉の仇を討つことを目指し、
養母を救って、人生の次の一歩を踏み出す。
吉岡家､小山田家､木田家の人間たち…
反吐が出るほど人間性が卑しく下劣なヤツら。
異常としか思えない。
よくも､こんなサイッテー！な人間を描いたものだと
あきれつつ感心すらしてしまう。
そんな連中に翻弄されながら生き抜いたミサエ、
凄い！！
川��さんは、凄絶な物語を､なんら激することなく
あえて淡々と書く。
その静けさが､秘められた凄絶さをよりクッキリと読者の心に映し出す。
北海道の過酷な自然はそこに住む人間の､心も身体も夢も人生も
削ぎ取り､崩して壊していく。
それでも人は生きて行かねばならない。
それを、河崎さんは
様々な状況､切り口で､読者に伝えてくる。
決して､飾られた言葉で綴られた美しい文章でも､心揺るがす語彙が躍る文章でも
ない、地味な文章なのだけれど、読み始めたら読み止められず、
最近では珍しく､２冊､イッキ！に読了してしまった。
次は｢肉弾｣｢ともぐい｣… と川崎さんの世界に没入しよう。
<読書24>
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