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2024年05月19日14:11

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熊外傷の恐さ

田県鹿角市の山林で、鹿角警察署の警察官二人が熊に襲撃され、両腕や顔などにけがをして救急車で市内の病院に運ばれたとニュースで知った。お二人とも意識はあり、幸い、命に別状はないそうだ。15日から行方不明になっている60代の男性を捜索していて、警察官は遺体の収容を行っているところを熊に襲われたそうだ。ご遺体には顔を中心に外傷があり、やはり、熊に襲撃されて亡くなったのは間違いないと思われる。

 北海道に生息する羆(ヒグマ)に比べると本州のツキノワグマは体格がずっと小さく、おとなしいと考えられてきた。当然、羆より危険度ははるかに低いはずだ、と。三毛別羆事件や福岡大ワンゲル部羆事件の記録をはじめ、明治以降の羆による獣害史を精読する私も「羆に遭遇したら絶体絶命だが、小さなツキノワグマならなんとか撃退できるのではないか」と甘く見ていた。しかし、近年、ツキノワグマに襲われて命を落とす例が急増している。もともと、ツキノワグマは好奇心が旺盛らしい。キノコ狩りや山菜採りで山に入った人々が襲撃されるのは、たいてい、背後からだ。おそらく、熊除けの鈴や伐採の音を聴きつけて、近寄って来たのだろう。羆の場合、人間の臭いや気配を感じると数km手前で道を変えると言われている。風下から無音で接近した人間と予期せぬ遭遇をした場合などは、羆は身を護るために反射的に攻撃してくる。子連れの場合はさらに攻撃的になることが知られている。やむをえず攻撃してくる羆と、ツキノワグマの攻撃パターンは異なるようだ。

 ツキノワグマによる攻撃の特徴は「人間の頭部、特に顔面」を狙っていることだ。人がツキノワグマに襲われた現場ではしばしば、咬みちぎられた顔の一部が見つかっている。頭、目や鼻、口などを狙い、執拗に咬みつくため、命を落とさなくても失明したり、何度も手術を繰り返して顔を整形しなければならないほど酷い損傷を負うのが熊外傷だ。さらに、歯による咬傷、爪による裂傷で感染症を起こす危険性が非常に高い。屋外にゴミ出しに出た高齢の女性がツキノワグマに襲われたにも関わらず、大した傷を負うことなく、撃退した例がある。彼女は驚き、大きなゴミ袋を盾にして、自分とツキノワグマの距離をとったおかげで攻撃をかわすことができたという。手斧や鉈(なた)で反撃した男性が腕や身体に大けがをしているのとは対照的だ(酷い裂傷、咬傷で100針縫った例もある)。ツキノワグマが棲息する山林に入る場合、鉈やナイフで反撃するより、リュックサックなどを盾にして彼我の距離をとって攻撃をかわす方が理にかなっているということだと思う。

■獣害史関連の過去日記
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